【BBC要約】「市場を動かす投稿」の即時アクセス権をウォール街へ販売へ——合法的な不条理の正体|英文ビジネスニュース日本語解説






この記事の論点:

「大統領のつぶやき(公式発言)への超高速アクセス権を売る」という新たなトランプ・ビジネス。

— なぜこれが巨額のマネーを生む商品になるのか、そしてどのような倫理的課題を孕んでいるのかについて解説。

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「不公平だが、違法ではない」:大統領のつぶやきを売る新ビジネス

"It certainly does not seem fair, but yes, a tech platform can tier its distribution of information without violating federal securities laws."

「確かに公平には思えない(does not seem fair)かもしれないが、違法ではない」

専門家は、新たな「トランプ・ビジネス」の試みが連邦証券法には違反しないと指摘する。今回紹介する記事が伝えるその「ビジネス」とは、端的に言えば「大統領のつぶやき(公式発言)への超高速アクセス権を売る」というものだ。

なぜこれが巨額のマネーを生む商品になるのか、そしてどのような倫理的課題を孕んでいるのか。ぜひ全文を読んでほしい。

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大統領の一次情報を独占せよ:赤字SNSを救う「最強の切り札」

Trump Media & Technology Group, which owns Truth Social, is launching a paid service to give Wall Street firms high-speed access to its most influential posts. The company behind the app hopes it will create a steady new source of money for the firm which is currently loss-making.

「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」という、トランプ大統領ファミリーが実質的に支配するSNSがある。これは2021年にトランプ氏のXやFacebookのアカウントが凍結されたことをきっかけに、巨大IT企業に対抗してトランプ氏自身が立ち上げたものであり、現在も彼の発信のメインの場(一次情報源)となっている。

このSNSの運営会社が先日、ウォール街の金融会社向けに「影響力の高い投稿(most influential posts)」へ高速アクセス(high-speed access)できる有料サービスを立ち上げた。現在、赤字(loss-making)が続いている同社にとって、これが安定した新たな収益源となることを期待しているという。

「影響力の高い投稿」が指すのは、もちろんトランプ大統領自身によるポストだ。トランプ氏は、重要な政策方針、市場を揺さぶる声明、本音などのほぼすべてを、まずTruth Socialにファーストソース(一次情報)として投稿してきた。

このツイートにわざわざ金を払い、人より早いアクセスを得る権利を買う。そんなビジネスが成り立つ のには明確な理由がある。

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|1,000分の1秒の遅れが致命傷。市場を揺さぶる「Truth API」の破壊力

It is likely to be aimed at financial traders who want to see market-moving news fast. Trump’s social media posts often cause sudden swings in global markets, especially when he writes about trade and tariffs.

このサービスがターゲットにしているのは、市場を動かすニュース(market-moving news)をいち早く察知したい金融トレーダーたちだ。

それもそのはずである。トランプ氏のSNSへの投稿は、特に貿易や関税(trade and tariffs)について触れた際など、世界の金融市場に突然の乱高下(sudden swings)をもたらすからだ。マーケットが動く瞬間こそ、トレーダーが巨額の利益を上げる好機となる。

最近の例を挙げれば、ホルムズ海峡の「20%通航負担金」の提案と、そのわずか数日後の撤回劇が記憶に新しい。負担金導入の投稿直後、市場はインフレ再燃を警戒して原油先物などのエネルギー価格を跳ね上げたが、その後の撤回投稿によって原油相場は一転して急反落した。大統領の「思いつき」とも言える一言で、数千億円規模の市場が瞬時に動くのが現実である。

投資銀行やヘッジファンドなどプロの投資家は、アルゴリズムを使った自動取引を行う。人間が文字を読むより早く、システムにトランプ氏の投稿を読み込ませて自動で株や通貨を売買しているのだ。このような企業にとっては、わずか数秒の遅れが致命的な損失につながる。今回の Truth社の有料サービス(Truth API)を利用すれば、クライアントのシステムへ直接投稿が送信されるようになり、他社に対して投資のタイミングで不利になるリスクを排除できる。

興味深いのは、このデータフィードで有料クライアントに配信される速度が「ミリ秒(1,000分の1秒)単位」を謳っている点だ。アルゴリズムによる投資においてはこの一瞬の差が勝敗を分ける。人間がトランプ氏のツイートを目視してから投資判断を下したところで、すでに後塵を拝していることは言うまでもない。

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「投資の公平性」も金で買われる時代:K字経済の歪みを映すミリ秒の価値

Trump could benefit substantially from the move. Since his family remains the majority shareholder in the company, the president stands to profit directly from selling expedited access to his own public statements.
"Markets already move on Truth Social posts," said Kevin McGurn, the interim boss of Trump Media, adding that the service will create a steady profit.

もっとも、この動きによって直接的に多大な利益(benefit substantially)を得ると言われているのは、この配信サービスのオーナーであるトランプファミリー自身だ。

構造として見れば、「現職の大統領が、自らの公的な発言(市場を動かす情報)への高速アクセス権を民間企業として販売し、個人の懐を直接的に潤している」ことになるからだ。実際、このサービスにいくらかかるのか、先行配信されるツイートにトランプ大統領のすべての発言が含まれるのかの詳細は明らかになっていない。

とはいえ、「ミリ秒」の価値を知り尽くしたウォール街の巨頭たちが相手である以上、慈善的な価格で提供するわけがない。結局のところ、大統領の取り巻きである富裕層クラブとトランプファミリーを相互にさらに富ませる仕組みが、また一つ増えたということではないだろうか。

「市場はすでにトゥルース・ソーシャルの投稿で動いている」とトランプ・メディアの暫定トップはこう言い放った。「投資機会の公平さ」すらも資本力によって段階(ティア)が設けられ、金で買われる時代。広がり続けるアメリカの「K字経済」の歪みを、この1本のニュースが如実に物語っている。

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