FT要約|ついにここまで来た、FRBへの政治圧力|サクッと読める英文ビジネスニュース
US prosecutors launch criminal investigation into Federal Reserve’s Jay Powell|Financial Times|2026.01.12
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...it was a pretext to rein in the Fed’s independence to set interest rates and part of a series of threats and pressure from the White House.「(刑事捜査の名目は)金利を設定するFRBの独立性を制御する(rein in)ための口実(pretext)に過ぎない。ホワイトハウスからの連日の脅しや圧力(threats and pressure)の一環だ」
FRBのパウエル議長自らが動画で語った内容だ。FRBのホームページにある。
ぜひ全文を読んで欲しい。
米国の検察当局は先日、ジェイ・パウエル議長に対する刑事捜査を開始した。
捜査の名目は、連邦準備制度理事会(FRB)本部の25億ドル規模の改修工事を巡り、パウエル議長の昨年6月の議会証言が「虚偽」だったのではないかという疑いについてだ。
この疑惑自体は正直、市長の不倫や学歴詐称ぐらいどうでもいい。
もっとも、昨年12月にFRBは0.25%の利下げを行い政策金利は現在の3.50~ 3.75%の水準となっているが、これは別に大統領の要請に応えたわけではなく、パウエル氏の言う通り、「国民利益に資するための最善の評価(best assessment of what will serve the public)」に基づいた判断だ。
これに対する政権側のパウエル批判は、公人がやってよいレベルを超える。
一連のホワイトハウスとFRBとの対立。今回は決定的だ。日本に置き換えると、植田日銀総裁が公開で高市総理を非難するようなものだ。こういった公開バトルをこのスケールでできるアメリカの潔さに毎度驚く。
この対立の中身は、政策論とは関係ない言わば「不祥事疑惑」に関してだ。本件が「国策捜査」と指摘される所以だ。
ぜひ全文を読んで欲しい。
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|国策捜査?
“The threat of criminal charges is a consequence of the Federal Reserve setting interest rates based on our best assessment of what will serve the public, rather than following the preferences of the president.”「刑事訴追の脅しは、大統領の好みに従わずに(rather than following the preferences of the president)FRBが金利を設定したことに対する結果(a consequence)である」
米国の検察当局は先日、ジェイ・パウエル議長に対する刑事捜査を開始した。
捜査の名目は、連邦準備制度理事会(FRB)本部の25億ドル規模の改修工事を巡り、パウエル議長の昨年6月の議会証言が「虚偽」だったのではないかという疑いについてだ。
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FRBの改修工事については、当初予算の約19億ドルが約25億ドルへと大幅に膨れ上がったことが問題視された。今回の捜査は、パウエル議長が本件について「贅沢な設備は計画に含まれていない」と議会で証言したことに対して、「意図的に議会を欺いた」たのかを検証するのが目的とされる。
この疑惑自体は正直、市長の不倫や学歴詐称ぐらいどうでもいい。
むしろ市場や世界が気にしているのはこのような「国策捜査」によって、パウエル氏が言う「政権に背いた報い」を受けさせることが、本当に実行されそうであるという脅威だ。
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|背反の代償
The administration has used the renovation project, which has run substantially over budget, as a line of attack against the central bank and Powell, whom Trump has labelled a “numbskull” over his refusal to slash interest rates to 1 per cent.「政権に背く」とは、借入コスト(金利)の更なる積極的な引き下げを求めるトランプ政権の圧力を、パウエル氏が拒み続けていたことを指す。
もっとも、昨年12月にFRBは0.25%の利下げを行い政策金利は現在の3.50~ 3.75%の水準となっているが、これは別に大統領の要請に応えたわけではなく、パウエル氏の言う通り、「国民利益に資するための最善の評価(best assessment of what will serve the public)」に基づいた判断だ。
これに対する政権側のパウエル批判は、公人がやってよいレベルを超える。
トランプ氏は金利を1%まで急落させることを拒むパウエル氏を「間抜け(“numbskull”)」と呼び、このFRB本部の改修プロジェクトに関する「疑惑」を、中央銀行とパウエル氏への攻撃材料として利用してきた。
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|政治介入という、一度では終わらない危機
“The Trump administration is leaving no doubt about its determination to directly and heavy-handedly influence the Fed’s policy actions through every avenue possible, including legal threats.”「法的脅迫を含むあらゆる手段を通じて(through every avenue possible)FRBの政策決定に直接的かつ強引に影響を与えようとする決意(its determination)の表れだ」
コーネル大の教授のコメントだ。要は「政権は目的実現のためなら手段を選ばない」ということだ。ここでの目的とは、アメリカの金融政策判断をトランプ政権が支配する、ということに他ならない。
FTのポッドキャストで記者はこう語る。
週明け月曜日の金融市場では、株式市場(S&P500とダウ)が結局終値で史上最高値を更新。日経平均も史上初めて53,000円の大台への爆謄を見せた。
それこそが中銀に期待される役割だ。
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If that’s what markets are thinking, that this is OK because Powell is out in May, markets are wrong. The real problem with what the Department of Justice has done here is that it destroys the credibility of whoever the next Fed chair is.「真の問題は、次に誰がFRB議長になろうとも、その人物の信認( credibility)をあらかじめ破壊してしまったことにある。」
FTのポッドキャストで記者はこう語る。
週明け月曜日の金融市場では、株式市場(S&P500とダウ)が結局終値で史上最高値を更新。日経平均も史上初めて53,000円の大台への爆謄を見せた。
記者は、「『今回の司法省の動きなどは問題ない』と考えているのだとしたら、それは間違い」と警鐘を鳴らす。
確かに、パウエル議長の任期は5月で終わる。しかし、政権に背いて「辞任させられる」実績を作ることは、中央銀行の独立性や信任に修復不可能な汚点を残す。
確かに、パウエル議長の任期は5月で終わる。しかし、政権に背いて「辞任させられる」実績を作ることは、中央銀行の独立性や信任に修復不可能な汚点を残す。
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Fed independence reassures the market that if inflation gets going again, somebody will step in and damn the torpedoes and put a stop to it.たとえインフレが再燃したとしても、『「水雷など構わず(damn the torpedoes)』断固としてそれを食い止めてくれる存在。
それこそが中銀に期待される役割だ。
そのために必要な政治からの距離。次のショックの時に気づいたのでは遅かろう。
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