パウエル議長退任を求める政治（基本クソ）的圧力｜CNN｜2025.07.11

The White House just took its most aggressive stance yet against Jerome Powell｜CNN｜2025.07.11

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“The President is extremely troubled by your management of the Federal Reserve System,”

「大統領はあなたの連邦準備制度の運営に非常に困惑している。」

アメリカ行政管理予算局（OMB）長官がFRBのパウエル議長を非難したコメントだ。ちなみにこの人は、保守派の政治家でトランプ大統領に長官に指名された。

FRBの金融政策の運営に対する批判と思いきや、批判しているのはFRB本部建物の改修費用についてだ。改修費用が予算より膨張したことについて、それは大統領を困惑させるほどの「マネジメント」の問題だと言っているのだ。

この大それた批判には、どうにかしてパウエル議長を辞めさせたいトランプ勢力が、あらゆる批判材料を使おうとしているという背景がある。7月11日付のCNN記事「The White House just took its most aggressive stance yet against Jerome Powell」は、そんな大統領府と中央銀行との関係について伝えている。

 
ぜひ全文を読んでほしい。

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｜批判できる材料なら何でも

The president has lately taken to calling Powell by the nickname “Too Late” for failing to recognize the 2022 inflation crisis fast enough and failing to slash interest rates as inflation has cooled down. Earlier this month, Trump suggested that Powell should resign in a social media post.

利下げに動かないパウエル議長へのトランプ大統領の「口撃」は止まない。

2022年に起こったインフレへの対応が「遅すぎた」として、一国の中央銀行トップを「遅すぎる男（Too Late）」と呼ぶ。パウエル氏は「辞めるべき」とSNSでポストする。同氏の議長任期は2026年５月の終了だが、その際には利下げに前向きな人物を後任に据えると表明する。世界で最も権力のある人からの「いじめ」は度を超している。

 

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Just two weeks after President Donald Trump sent a handwritten letter to Powell demanding lower interest rates, Russell Vought, Trump’s director of the Office of Management and Budget (OMB), accused Powell of breaking the law by failing to comply with government oversight regulations and lying to Congress about details of an approximately $2.5 billion planned renovation of the Fed’s headquarters.

そんな中、FRB本部の改修計画を巡るスキャンダルが起きた。2019年時点の当初予算では約19億ドルだった回収費用が、2025年には約25億ドル（約3700億円）に膨張してしまったのだ。

このことについて、パウエル議長は議会で改修費用に関して「誤解を招く証言」をしたとされ、トランプ氏は「事実なら直ちに辞任すべき」と発言した。

 

もっとも、改修費用の増加には理由がある。日本の建設プロジェクトでもよくある資材価格の高騰のせいだ。事実パウエル議長は、今回の改修では「VIP用のダイニングルームもないし、大理石を新たに作り付けてもいない、エレベーターはもともとあったものだ」と説明しているが、批判すること自体が目的の人達は聞く耳を持とうとしない。

 

物価高の責任を着せるならば、物価高による予算超過にも責任を負わせるということか。この強引ともいえる批判が、ホワイトハウスによる議長解任の口実をつくる政治的な動きだ、専門家は指摘している。

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｜政治以外は理性的

However, firing Powell could send financial markets reeling: Mills warned that markets would not respond well to any indication that Powell, or another Fed chair, had lost their independence and was under the control of the president.

ところが、本来政治から独立であるべき金融政策に政治が介入することを市場が好意的に見るはずがない。金利の上げ下げは結局は政治が決める、なんてのがパウエル氏後のFRBでも普通になっては困るのだ。火曜日にドルは一時 0.9％まで下がった。

それにビビってか、「何かを予定している訳ではない」とトランプ大統領は市場の憶測を抑えようとした。他方で、「 何かを絶対しないということはないが、不祥事がなければ（解任は）ないだろう。だが不祥事があった可能性はある。（“I don’t rule out anything, but I think it’s highly unlikely, unless he has to leave for fraud, and it’s possible there’s fraud,”）」みたいな含みは残す。

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President Trump has made it clear that he prefers a Fed chair who will lower interest rates, but the Fed hasn’t voted to cut rates since December.

Trump and his allies have said the Fed’s decision to keep rates steady is politically motivated, but Powell has signaled Trump’s tariff policy - and its potential to stoke inflation - have played a role.

 こういう時は原理原則に忠実に従う方が強い。トランプ勢は「FRBパウエルが利下げをしないのは（逆に）政治的な意図によるもの」と批判するが、物価安定と雇用安定をミッションとするFRBは動じない。

パウエル氏自身も、「だってトランプ関税は物価高になるんだから、金利下げたらやばいでしょ」と、飽くまで自身の役割を全うする立場だ。これぞ役人の矜持と言えるものか。

 

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 “They are trying to pressure him in every way they can to resign,” said Alan Blinder, a former Fed vice chair, of Powell. “I don’t believe he will and I don’t believe he should.”

 「あらゆる方法で圧力をかける（pressure him in every way）」。どこの国でも政治は基本クソのようだ。

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