【FT要約】ミームコインの闇が深すぎる…メラニア夫人のポスト直前に起きた「150秒の奇跡」|サクッと読める英文ビジネスニュース

Traders made $100mn from buying Melania memecoin before launch|Financial Times|2025.05.07



この記事の論点:
ミームコインはなぜ「インサイダー取引の疑い」があっても問題にならないのか。
—規制の枠外に置かれた暗号資産が生む資金移転と、その矛盾を整理。


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$TRUMP $MELANIA
ミームコインと言われる暗号資産の銘柄だ。それぞれ、大統領とファーストレディーの名前を冠している。ミームコインとは、インターネット上で人気のあるミームやジョークを基にした暗号通貨のことだ。

ある記事では、「ミームコイン」は実質的には「collectible(コレクターアイテム、収集価値のあるもの)」で、ベースボールカードに近いと解説されていた。

もともと暗号資産に本質的な価値はないが、ミームコインは話題(meme)性を狙ったアイテムなので、話題性で価格が動くこと以外は何も期待されていない。

$TRUMPと$MELANIA、これらは今年の1月、即ち大統領の就任した月に発行され、両者とお価格は発行直後に最高値まで達し、その後に急落した。5月7日付のFT記事「Traders made $100mn from buying Melania memecoin before launch」は、そんなミームコインを巡る不公正取引の疑いについて伝えている。
そのポストの2分半前に、デジタルウォレットといわれる暗号資産の保管・取引・送受信ができるソフトウェアが、大量にコインを購入していた。夫人によるポストの「前」だ。それらのウォレットは、夫人のポストを受けて価格が急上昇(soaring)したコインの8割強を半日で売り抜いた。メラニアコインは1月20日中に価格がピークに達した後、下落を始めた。

ちなみに、$TRUMPの方はというと、発行されたのはこの二日前だった。$TRUMPは1月22日にピーク価格に達した後に価格を大きく下げ現在に至る。チャートは$MELANIAとほぼ同じ形で推移している。


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なぜ「インサイダー」にならないか:ミームコインと規制の空白

The launch process for memcoins enables the price of the tokens to rise sharply from near-zero prices if interest surges, giving earlier buyers the chance to make outsized profits.
Memecoins are not treated as securities under US financial regulations, meaning scheme promoters are not bound by federal disclosure and insider dealing rules designed to protect retail investors.
こんなの絶対インサイダーだろ、と言えるのは株式などの規制されている有価証券の世界での話。

ここで言っているように、証券(securities)として規制されていない以上、資金調達としてコインを発行する会社の情報公開に関する義務もなければ、「インサイダー」取引を取り締まるルールもない。暗号資産に証券並の規制を適用しようとしていたSEC(証券取引委員会)の前委員長は、新政権になって事実上の解任となった。
$MELANIAの発行にかかわったentity(事業体)は、コイン販売の手数料などで、6,400万ドルの利益を得たとされる。実体のないものを売ってミリオネアになれる、これが暗号資産の世界だ。

FTが突き詰めていくと、メラニア夫人に関連するデラウェア籍のMKT Worldという「事業体」が、$MELANIAの募集販売を行っていたとのことだ。実はFTは$TRUMPについても、発行に関与した「entities」が同じようにしこたま稼いたことを突き止めていた。

The FT has previously tracked transactions involving $TRUMP, revealing that entities behind the launch earned at least $350mn - both from sales of the tokens and market-making fees.


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$MELANIAに話を戻すと、このデラウェアのMKT Worldという「事業体」が、$MELANIAコインの発行者なのか、利益は他の関係団体にどう分配されたかは公表されていない。そりゃそうだ。

"There was no money made from the Melania tieam. We didn't take any liquidity out. Zero."
自ら$MELANIAに関わったと発言したテキサス州出身の20代「クリプト起業家」のコメントがこれだ。

当事者がそう説明するのは当然だが、事実関係はなお不透明だ。

真相は藪の中か…この件が示しているのは、「規制されない資金調達手段」が政治や有名人と結びついたときの危うさだ。ミームコインは「冗談」では済まなくなりつつある。


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