【BBC要約】ビットコインは本当に「オワコン」なのか?専門家が指摘する“純粋な投機”の終焉

Bitcoin falls to lowest value since Trump took office|BBC|2026.02.06





この記事の論点:
トランプの「クリプト推し」も虚しく、ビットコインはなぜ売られ続けたのか。
政治に振り回され、なお「役割」を問われる暗号資産の立ち位置を整理。


* * *

"This steady selling in our view signals that traditional investors are losing interest, and overall pessimism about crypto is growing," it said.
「この着実な売り(steady selling)は、伝統的な投資家が関心を失いつつあり、仮想通貨に対する全体的な悲観論(overall pessimism)が強まっている兆候だ」

ドイツ銀行のアナリストはこう分析する。

過去4ヶ月間下落傾向にあるビットコイン。上記のコメントを分かりやすく言い換えれば;

「ずっと売られっぱなしってことは、普通の投資家はもう興味失くしたってことでしょ。『仮想通貨オワコン』感、どんどん広がってるし。」という感じだ。

今回紹介する記事は、そんなクリプト界隈の空気について伝えている。

ぜひ全文を読んで欲しい。


* * *

なぜ急落? 背景にあった「金融の空気」

The price of Bitcoin has fallen to its lowest level in 15 months despite US president Donald Trump's personal and public support of cryptocurrency.
もともと暗号資産は、トランプ第二次政権における個人的・公的(personal and public)な「推し」だった。その「推し」空しく、ビットコインの価格が過去15ヶ月で最低水準にまで下落したのが先週だ。

ビットコイン1単位の価格は66,000ドルあたりだが、これは2024年10月以来の低水準で、年初からの下落率は24%にまで達してしまった。つい昨年10月にビットコインは12万ドルの史上最高値を記録していたばかりだった。

* * *

Bitcoin prices tend to be volatile, but analysts with Deutsche Bank said in a note on Wednesday that the latest drop was "triggered by" Trump's nomination of Kevin Warsh as the new chair of the Federal Reserve.
急落の「引き金となった(triggered)」とされるのは、
トランプ氏による連邦準備制度理事会(FRB)次期議長に指名だった…とドイツ銀行は分析する。

もっとも、ビットコインはこの指名の前からすでに「ジリ安」の状態にあった。そこに次期FRB議長指名のニュースが飛び込んできて、「弱り目にたたり目」のような形で急落が加速した、という見方が大勢だ。

指名されたケビン・ウォルシュ氏元FRB理事。
何でこの人の指名が暗号資産市場にとって大きなショックとなったかというと、このウォルシュ氏は金融政策のスタンスとして「タカ派(引き締め派)」と言われているだからだ。

どいうことかというと、タカ派の彼が議長になれば、市場に供給されるドルの量が減る。
ドルの量が減るということは、経済全体での余剰資金が減るということになる。これを「流動性の低下」という。

仮想通貨は「余剰資金(流動性)」が多い程価格が上がりやすい。即ち、投資家は余剰資金を使って投資をするため、逆に余剰資金が減れば、暗号資産に投資しようという人は減る、したがって価格は下がる、という仕組みだ。

要するに今回の急落は、「FRBが再び引き締めに向かうかもしれない」というシグナルが、もともと弱っていた相場を直撃した形だ。


* * *

クリプト推しの裏で何が起きていた?

Among Trump's first actions upon re-entering the White House in January 2025 was an executive order aimed at making the US the "crypto capital of the planet".
ここからは市場ではなく「政治」の話になる。

暗号資産市場の乱高下は、トランプ政権の“露骨な業界推し”と切り離せない。
この急落劇、「推し」た本人はどれほど「やられた」のだろうか。

米国を「地球上のクリプトの首都(crypto capital of the planet)」にするとしたトランプ二次政権は、あからさまな業界優遇を行ってきた。

記事が例に挙げているのが、司法省の仮想通貨規制執行チームを解散させたこと、それから、証券取引委員会(SEC)における仮想通貨関連の執行業務や調査を中止させたことだ。

つまり、トランプ氏は暗号資産に関する規制や監督を「緩く」した。それにはもちろん裏がある…

* * *

Democrats on the Senate Judiciary Committee in November called out Trump's "pro-crypto agenda", noting that the president had amassed crypto holdings worth more than $11bn and gained personal income of $800mn from crypto transactions since taking office.
今さら誰も驚かないだろうが、その「緩い」業界のおかげで「ホクホク」になったのが、大統領本人だったりするのがアメリカのワイルドなところだ。

再就任1年目、トランプ氏は独自の仮想通貨ブランドを立ち上げたが、その利益の大部分は自身の企業に流れる仕組みとしていた。さらには、トランプ・ファミリーやそのお仲間が、暗号資産の銀行だったり暗号資産投資会社だったりを所要・経営していたりする。

そういった「仮想通貨推進アジェンダ(pro-crypto agenda)」がもたらしたファミリーにもたらした恩恵。大統領は110億ドル以上の仮想通貨を保有し、就任以来の取引で8億ドルの個人的な収入を得ているとされている。

これを国家レベルでの「利益相反」と言わずして何というだろうか。。

他方で、この記事は伝えていないが、今回の暗号資産急落では、トランプ氏の個人資産もかなり大きなダメージを受けているはずだと言われている。

というのも、ビットコインを同じく「トランプ・ブランド」のコインも暴落していることに加え、トランプ一族の総資産約72億ドルのうち約20%が暗号資産関連であるとも言われているからだ。

トランプ氏の資産にとってクリプトはもはや「おまけ」レベルではない規模になっている。その分、大統領自身の資産も相当な規模で溶けている計算になるらしい。


* * *

「オワコン」論の先:暗号資産の現在地

The bank said the digital token was moving from being a "purely speculative asset" into a more realistic phase as an asset that "needs to find its specific role".
上述のドイツ銀の専門家はそうは見ていない。

「オワコン」かはともかく、少なくとも暗号資産自体が消滅するとは考えていないようだ。

ただここで専門家がいっているように、デジタル・トークンに関しては、「純粋な投機対象(purely speculative asset)」から、自らの「具体的な役割(specific role)を見つける必要がある」とする。

つまり暗号資産は、単に価格が上がるから買われるというのではなく、ユースケースの存在を前提とする、現実的なフェーズに移行しているというのが専門家の指摘だ。

暗号資産が「オワコン」かどうかより重要なのは、もはや「価格が上がるか」では評価されなくなったという点だろう。


* * *

暗号資産の「ユースケース」。「決済」だの「送金」だの言われているが、キャッシュレス取引について我々はことさら困っていることはない。

「推し」派が主張するのが『取引が改ざんされない』『取引の匿名性が守られる』メリットだが、「投機」に関わらない者にとっては、『別にそんなんなくても困んなくない?』というのが現実だろう。

中央銀行の金融政策に振り回され、政治と癒着し、投機マネーが引いた後に残るのは、結局「何に使えるのか」という問いだけだ。

* * *
このニュース、英語で読んだ印象はいかがでしたか?
*****