【NEWSWEEK要約】バフェット指数が過去最高水準に到達:米国株は「火遊び」状態なのか|英文ビジネスニュース日本語解説
Buffett Indicator’ Raises Fears Over US Economy|Newsweek|APR 20, 2026
「この比率が70%から80%の範囲まで下がった時に株を買えば、非常にうまくいく(work very well)可能性が高い」
「投資の神様」「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏はかつてこう言った。
バフェット氏とは、巨大投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを先日退任した、「世界で最も成功した長期投資家」と言われるレジェンドだ。
バフェット氏が言う「この比率」とは、同氏が考案した『バフェット指数』と言われる指標だ。この指数、足下では200%を超えている。その意味は、米国株の時価総額がGDPの2倍を超えているということで、歴史的な高水準に達している。 これは、投資の神様が「火遊び」と呼んだ領域だ。
日本ではついに日経平均が6万円を超えてきた。今回紹介する記事は、そんな「火遊び」状態かもしれない株式市場への考察を伝えている。
ぜひ全文を読んで欲しい。
|バフェット指数とは何か
「バフェット指数」の求め方はこうだ; 米国の全上場株式の時価総額 ÷ 米国の国内総生産(GDP)
バフェット氏はこの指数で、株式市場(分子)が経済規模(分母)に対して『適正に評価されているか(accurately valued)』を判断していたという。
これをどのように使っていたかというと、前述のように、投資を拡大する絶好の機会を知らせるシグナルとして、または、差し迫った市場調整の予兆とバフェット氏は見ていたようだ。
例えば、冒頭のバフェット氏のコメントにあるように、指数が70〜80%まで下がった局面は「絶好の買い場」としてきた。意図するところは、「株式市場が経済規模に対して割安なときに積極的に投資すべき」という考えだ。
とはいえ、結論から言えば、バフェット指数は「株式市場が経済に対してどれだけ膨らんでいるか」を示す単純な比率だ。 そのため、何倍が適正かという“絶対的な正解”は存在しない。
ただ、言わば『「市場が期待する企業の将来の価値」を「経済の実体」と比較した比率』について、その過去からの推移を追うことで、両者の間で極端なアンバランスがあった時点を特定することができる。例えば、バフェット指数が過去のピークと同じ水準に近づきつつあるのであれば、株価がその時と同じぐらいインフレしている可能性が高いと評価できる。
|「200%」は危険水域? バブル時との類似
では、現在の指数は歴史的に見てどれほど危険なのだろうか。
過去のアンバランスのピークがいつだったかというと、バフェット氏によれば「指数が 200%に近づく」時だそうだ。そんな状態をバフェット氏は『投資家が「火遊び」をしている(playing with fire)』と揶揄する。過去に指数が200%に達したのは、1999年と2000年の頃だった。その頃はまさに、ドットコム・バブルが崩壊する直前だった。
ドットコム・バブルの崩壊の背景として指摘されてきたのが、「インターネット関連株の過大評価(the overvaluation of internet stocks)」だ。面白いことに、「インターネット」を「AI」に変えると、この数ヶ月間指摘されている懸念(concerns)に見事に付合する。
米国の株式時価総額は現在約70兆ドルで、国の経済のアウトプットであるGDP約30兆ドルの2倍を超える。特に、近年の市場上昇の原動力となってきたのは、他でもないAI関連投資のブームだ。
ところが、実際の推移を見てみよう。このサイトによれば、2000年の指数は150%あたりで、足元の水準は優に200%を超えている。確かに、2000年のドットコムバブルと比べると、むしろ今の方が過熱している可能性すらある。ということは、既に我々は「火遊び」を超えたヤバい遊びの境地に達してしまったということなのだろうか。
|賢人も誤る? バフェット指数への反論
投資の神様が指摘する通り、我々は終末に達しつつあるのか。もちろん反論はある。既に書いたように、バフェット指数はその考えがシンプルなので、市場暴落(market crashes)を予測する尺度として、完全に適切または信頼できる(wholly appropriate or reliable)ものではないという指摘もあるのだ。
実際、バフェット指数は、2008年のリーマンショック前や、さらにそのずっと前の1973年の暴落前には切り上がっている状況ではなかった。
…という都合のよい情報を拾って自己欺瞞に陥りがちなのが人間のサガか。「過去の全ての大地震を予測していない」モデルでなければ、「過去の大地震を予測したことがある」モデルを信じる必要ない、とはならないとは思うのだが…
|「FOMO」と「AIリセット」
「急に金持ちになる人が現れると、大勢の人が便乗して自分も金持ちになりたいと群がる」ベンチャーキャピタリストが、バブルの原因として指摘したものがこれだ。
この心理を「FOMO(Fearing of Missing Out)」という。他の皆が得しているのに乗り遅れたくない・置いていかれたくない、という人間のどうしようもない習性だ。始末の悪いことに、社会全体がFOMOに気付くのは、宴が終わった後になってからだ。こうしてバブルは繰り返される。
確かにバフェット指数は危険水域を示している。しかし、それが即座に暴落を意味するわけでもなさそうだ。他方で、「『AIのリセット(AI reset)』が目前に迫っている(on the horizon)」と前述のベンチャーキャピタリストは指摘する。
AIブームが新たな成長を生むのか、それともバブルの序章なのか──。賢明な見極めができるようになりたいものだ。
