【FT要約】新NISA勢も無傷ではいられない?「誰もがエヌビディアと踊るしかない」ウォール街のヤバすぎる現実|英文ビジネスニュース日本語解説







この記事の論点:

狂乱のダンスと一蓮托生の構造——エヌビディア主導のAIバブルに群がるウォール街の危うさ

— 2007年のリーマンショック前夜を彷彿とさせる熱狂の中で、世界中がエヌビディアに依存せざるを得ない「恐怖と歓喜」の背景を考察

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Those with a fairly long memory remember Citigroup chief Chuck Prince's pre-financial-crisis remark that "as long as the music is playing, you've got to get up and dance".

「音楽が鳴っている間は、立ち上がって踊り続けなければならない("as long as the music is playing, you've got to get up and dance")」

2007年、世界金融危機(リーマン・ショック)の直前、シティグループのチャック・プリンス元CEOはこう言い放った。そのわずか数ヶ月後、彼の銀行はサブプライムローンの焦げ付きで壊滅的な打撃を受け、彼自身も責任をとって辞任に追い込まれている。

あれから約20年。いま、ウォール街のトップたちが当時と同じように「狂乱のダンス」を踊り始めているとしたら……。

今回は、米国金融界がこぞってエヌビディア(NVIDIA)に群がる姿が、過去のバブル直前と不気味なほど重なる理由をFT誌から読み解く。

ぜひ全文を読んで欲しい。

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ウォール街が80兆円の「エヌビディアお友達ローン」に群がる理由

Wall Street loves Nvidia. In case that wasn't clear already, this week the bosses of six of the biggest names in global asset management pledged support for the chipmaker's new project: a financing platform that would back $500bn of AI-empowering data centres. It's not their money that's at stake, but that of their clients.

8月10日、半導体王者NVIDIA(エヌビディア)が発表したのは、同社が主導する総額5,000億ドル(約80兆円)規模の「AIインフラ向け資金調達プラットフォーム(a financing platform)」の立ち上げだった。

俄には分かりづらいが、「プラットフォーム」とは「融資枠」のことだ。要するに、AIデータセンターを作るための「巨大なローン枠(金融スキーム)」をエヌビディア自らが用意したということだ。

この巨額ローンはエヌビディアの顧客に貸し出され、その金で顧客はまたエヌビディア製の超高額な半導体(GPU)を購入する。

驚くべきは、このスキームに参加する大手金融6社も、エヌビディア自身も「自腹を切っていない(It’s not their money that’s at stake)」点だ。リスクにさらされているのは、彼らの顧客である年金基金や個人投資家の「余りガネ」である。

自らの懐を痛めずに手数料と景気の良い数字だけを享受するウォール街は、今まさにエヌビディアに首ったけなのだ。

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オルカン投資家も他人事じゃない!世界中がエヌビディアと「一蓮托生」の現実

The enthusiastic chorus reflects another reality: Nvidia's success is now everyone's. 
At the end of 2024, Huang noted that almost every company in the world seems to be involved in our supply chain". Since his company is now $1.7tn bigger by market value, and its cost of goods sold has almost tripled, that must be even more true today.

エヌビディアの成功は、今や「みんなの成功」だ —— 筆者は指摘する。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOもかつて「世界中のほぼすべての企業が当社のサプライチェーン関わっている」と語ったが、これは単なるハッタリではない。現在、AI用GPU市場の80%以上を同社が独占し、TSMCをはじめとする世界中の精密装置メーカーがエヌビディアのために動いている。

そして、この「エヌビディア依存」は金融市場でも同様だ。例えば、日本で大人気の「オルカン(全世界株式)」ファンド。エヌビディア単体の組入比率は約5%前後で全銘柄中トップを占める。さらに米国株の比率や関連するテック企業を含めれば、我々も知らず知らずのうちにエヌビディアと運命を共にする「一蓮托生」の状態に置かれている。

だからこそ、誰もが「愛さずにはいられない(can't afford not to)」のだ。

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「放物線」を描いて飛ぶAIブーム、落ちた時のツケを払うのは誰か?

A hiccup in that growth would be disastrous for companies growing in Nvidia's wake. There is no sign of this at the moment; Huang said in May that the AI boom had "gone parabolic". 
But were the mood to change, he might be less keen to offer funding and loan guarantees to customers such as OpenAI. …An AI rout would cause widespread harm, because so much public market wealth is tied up in tech: software, communications and IT companies …

フアンCEO自身、AIブームは「放物線を描いて(parabolic)加速した」と語っている。しかし、放たれた矢はいずれ落下する。

万が一、エヌビディアの成長に少しでも「しゃっくり(a hiccup=つまずき)」が起きればどうなるか。

投資家のムードが一変すれば、エヌビディアが巨額出資するOpenAIの大型IPO計画にも暗雲が立ち込める。S&P500の時価総額を押し上げてきたIT・通信企業の株価が急落すれば、そのショックは不動産や高級品消費、そして巡り巡って市井の労働者にまで波及するだろう。

20年前のリーマンショックがそうであったように、「富裕層の熱狂の恩恵」は末端まで届かないのに、「熱狂の後始末のツケ」だけはしっかり弱者に回ってくるのが、経済の冷酷な構造である。

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「誰がこのデータセンターを使うのか?」誰も答えられない恐怖のバブル

Again, there's no sign a correction is imminent. But the question of who will use all these data centres, and for what price, remains unanswerable.

「これほど大量に作られているデータセンターを、一体誰が、いくらで使うのか?」

実は、この最も根本的な問いに対する答えは、未だに出ていない(remains unanswerable)。

現在のデータセンター建設ラッシュは、「他社に遅れたら終わり」という恐怖心(FOMO)に煽られた過剰投資の側面が否めない。自社や提携先の間で資金とGPUを回し合っているだけの「ぐるぐる回し」の域を出ていないという厳しい指摘も存在する。

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For now, the giants of the financial world have every reason to jig to Nvidia's tune, and tip the band while they're at it.

今のところ、ウォール街の巨人たちにはエヌビディアの奏でる心地よい音楽に合わせて踊り、ついでにバンドにチップを渡す十分な理由がある。

1985年、西ドイツのヴァイツゼッカー大統領は「過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目となる」という名言を残した。

バブルの宴がいつまで続くかは誰にも分からない。しかし、音楽が鳴り止んだ瞬間に何が起きるのか、我々は過去の歴史から学んでおく必要がありそうだ。

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