【CNBC要約】トランプ一族が800億円を荒稼ぎした裏で、信じた投資家は「93%暴落」の地獄を見た話|英文ビジネスニュース日本語解説





この記事の論点:
トランプ一族主導の暗号資産プロジェクト。莫大な富の回収の裏で、置き去りにされた一般投資家。
—「トランプ銘柄だから勝てる」という幻想の代償を整理。

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ナスダックに現れたトランプ息子たちの「超笑顔」と、無名企業との謎の提携

They showed up at the Nasdaq stock exchange in New York to celebrate a new business partnership with a little-known publicly traded company, then called Alt5 Sigma, to give investors easier access to a cryptocurrency backed by the Trump family.

2025年の8月、その「彼ら」は、ニューヨークのナスダック証券取引所のプロモーションイベントに超笑顔で登壇した。

「彼ら」とは、トランプ大統領の息子達、エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏だ。両氏はトランプファミリーが支配するWorld Liberty Financial(WLF)の『公式アンバサダー』だ。

オーナーの一族がその会社の『アンバサダー』ってどういうこと?と思うのが普通だろう。この便宜的な肩書は、「取締役」という法的な責任を避けつつ実質的には会社を支配するための巧妙なやり口だ。

そんな「広告塔」の二人がプロモーションしたのは、WLFと当時はほとんど無名の上場企業(a little-known publicly traded company)が結んだ、新たな「ビジネスパートナーシップ」だった。

WLFは暗号資産の会社だ。「無名な企業」との間での取り決めの内容とは、簡単に言えば「投資家のみんな!お前らがこの無名な会社の株を買えば、間接的に俺たちの暗号資産に投資したことになるぜ!」というものだ。

大統領の息子達がこのイベントに現れたのは、WLFが間接的に売り出す暗号資産について、その「トランプ銘柄」としての信頼性を演出する目的だった。

こういうのを「ハロー効果」と言う。CMに好感度の高いタレントや専門家を起用するのも同じ理由だ。実際、有名ヘッジファンドや海外のベンチャーキャピタルが同社の株を買いに動いた。

この「トランプ銘柄」への投資。その後、儲かったのはほぼトランプ一族だけだったという驚愕の結果となったことについて、今回紹介する記事は伝えている。

ぜひ全文を読んで欲しい。

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儲かったのは一族だけ。「5億ドル(約800億円)」を手にした巧妙な仕組み

One of the few parties who benefited from the Alt5 Sigma transaction is the Trump family. 
As part of the August deal, Alt5 acquired $1.5 billion worth of crypto tokens from World Liberty Financial, the crypto company co-founded by Eric Trump and Donald Trump Jr., among others, in 2024. 
The president and undisclosed members of his family were entitled to roughly $500 million in proceeds from the crypto sale, according to disclosures by World Liberty Financial.

トランプ一族が儲かった理由は何か。

8月のWLFと「無名な企業」とのディール。その企業の名をAlt5 Sigma(アルトファイブ)という。ディールの内容は、このアルトファイブがWLFから15億ドル相当の暗号資産トークンを取得するというものだった。

WLFが暗号資産売却によって得る収益のうち、大統領と氏名非公表のファミリーメンバーは「約5億ドルを受け取る($500 million in proceeds from the crypto sale)」権利を有する。つまり、あの二人の笑顔は「5億ドルゲットだぜ」だったのだ。

では、なぜWLFはこんなやり方で儲けることができたのか。

その仕組みは「暗号資産トレジャリー企業」というものだ。「ビジネスとして暗号資産を保有する上場会社」のことを指す。

このビジネスモデルの祖がマイクロストラテジー(MicroStrategy)社だ。一時期においてではあるが、この会社の株価は保有している暗号資産の価値以上に上昇するというボロい商売だった。WLFはこのやり方を真似たのだ。

ただし、闇が深いのはここからだ。

WLFがトレジャリー企業を介して暗号資産を投資家に売ったのには表と裏の理由がある。この記事自体には詳しく書いていないが、英字メディアで指摘されているのは大体以下の通りだ;

  • 表の理由(証券規制の迂回):SEC未登録のWLFは暗号資産を投資家に直接販売できないため、上場会社であるアルトファイブの「株式」への投資という形で資金を集めた。説明のしようによっては「暗号資産への投資家のアクセスを容易にするため」だが、見方によれば証券規制の迂回だ。
  • 裏の理由(リスク回避のクッション):現職大統領としての「利益相反」を薄めるため、そしてプロジェクト暴落時の「投資家からの訴訟」を回避するため。つまり、形式的にでもアルトファイブ社を間に挟むことによって、経済的かつ政治的な追及をかわすクッションとしたのだ。

そして、その心配は現実になった。

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わずか10ヶ月で株価93%ダウン。投資家を待つ「上場廃止」の悪夢

Alt5 closed at $8.97 on Aug. 8, the last trading day before the World Liberty deal was announced. Since then, AI Financial’s stock — originally trading under the ticker ALTS, now AIFC — fell to 66 cents a share at the June 8 close, a 93% loss, according to FactSet data. 
If the company, now called AI Financial Corp., can’t sustainably raise its share price out of penny-stock levels in the next 15 trading days, it faces the prospect of being delisted by the Nasdaq.

提携発表から10ヶ月も経たない2026年6月現在、事態は一変している。6月8日の同社株価(現在は社名を「AI Financial Corp.」に変更)の終値は、わずか66セントへと沈んでいるのだ。

WLFとの提携発表時に群がった投資家は、実質93%の損失を抱えている計算になる。同社が大量に保有するトランプ一族の暗号資産「WLFIトークン」が、提携当時から約82%も暴落したことがその背景にあると言われている。

これは同じ期間で50%前後下落したビットコインを超える下落率だ。

結局WLFIトークンは、「トランプ一族の知名度」だけに依存したミーム(はやり)コインでしかなかったのだ。

おまけに同社は現在、「これ以上事業を継続できない可能性がある」と投資家に警告する事態に陥っている。

今後15取引日以内に株価を1ドル以上に引き上げ、ペニーストック(ナスダックの規定である「30営業日連続で1.00ドル未満」)の水準から脱却できなければ、強制的に上場廃止となる見通しだ。価格回復の期待も持てず、投資家たちの資産は文字通り紙くずになろうとしているのだ。

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「トランプ大統領の関連銘柄だから勝てる」という幻想の代償

AI Financial has become a cautionary tale for investors who saw a Trump-linked deal as a natural winner in a Trump presidency. 
What looked to some like a public-market entry point into the Trump family’s expanding business empire has instead left investors with steep losses.

「トランプ大統領に関連するビジネス(a Trump-linked deal)は、当然勝ち組(a natural winner)になる」

そう信じて飛びついた投資家たちにとって、今回の件はあまりにも痛烈な教訓(a cautionary tale)となった。

当然ながら、トランプ一族が彼らの損失を補償することはない。エリック・トランプ氏はSNS(X)で「自分はアルトファイブ社においてリーダーシップや意思決定の役割は一切担っていない」と投稿。早々にトカゲの尻尾切りを行っている。

さて、ここからが私たち一般投資家への教訓だ。

昨今話題になったスペースXのIPOや、2026年現在も続々と控えているAIビッグネームたちの新規上場(IPO)など、市場には常に「時代の寵児」による魅力的な投資話が溢れている。

こうしたビッグネームによる「ビジネス帝国(business empire)」への招待状は、果たして我々一般人に富をもたらす「公開市場からの入り口(a public-market entry point)」なのか?


それとも、今回のトランプ暗号資産のように、一族の「5億ドル」の原資にされるだけの、壊滅的な損失への片道切符なのだろうか…

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