【CNN要約】どんだけ返したくないねん!諦めないトランプ政権が仕掛ける“精密”な新型関税の罠|英文ビジネスニュース日本語解説




この記事の論点:
先日「無効」とされた「トランプ関税」第二弾。政権は次を準備していた。
— 「通商法301条」をベースとした、より巧妙で精密な新型関税の罠の実態を解説。

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Trump’s quiet, methodical, patient new approach to tariffs is on purpose. 
The tools he’s now using to rebuild his tariff engine are far more precise than the last ones.

今年2月に最高裁から無効とされた、二期目のトランプ関税。

しかし、敗訴ぐらいでくじけるようなら彼は最初からやらない。「静かで、計画的で、忍耐強い(quiet, methodical, patient)」新たなアプローチを周到に用意していた。

今回紹介する記事は、その「アプローチ」が、「職権乱用」と無効とされた前回の関税措置よりも「はるかに精密(far more precise)」に練られているという、トランプ氏の執念を感じるようなストーリーを伝えている。

ぜひ全文を読んで欲しい。

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「緊急権限」から「301条」へ:悪かったのは中身ではなくプロセス

Trump has signaled for a long time that he would use alternate methods to impose his tariffs — even before the Supreme Court in February declared Trump had no authority to use emergency powers to levy import taxes.

もともと二期目のトランプ氏は、関税を課すための「別の手段(alternate methods)」を用いることをずっと仄めかしてきた。

そもそも、トランプ関税は彼の二期目で初登場したものではない。

一期目の大統領時代において、アメリカは既に中国などに関税を課している。この関税は「通商法301条」という法律を根拠とし、「相手国の不公正な貿易慣行を調査して課す」という手続きを踏んだものだ。今でも法的に有効なまま残っている。

他方で、今年2月に最高裁判所からトランプ関税が無効とされたのは、関税をかける根拠として使える「緊急権限はない(no authority to use emergency powers)」とされたのが理由だ。

手っ取り早く関税を課すため、議会や法的な手続きをすっ飛ばせる「緊急権限」を根拠にしたことに対して、「正当な理由が欠けている」とされた。

つまり、悪かったのは中身というよりもプロセスだったのだ。

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次の武器は「通商法301条」:より強力で、より長引く特効薬

“The failure of our most important trading partners to address the importation of goods made with forced labor is unacceptable,” Greer said in a statement. 
As a remedy, Greer proposed a minimum 10% across-the-board tariff on all of the trading partners the administration investigated, citing authority from Section 301 of the Trade Act of 1974.

”貿易相手国の対処が悪いせいで、「強制労働によって作られた物品(goods made with forced labor)」がアメリカに輸出されている”――米通商代表部(USTR)が先週公表したレポートは、この「強制労働による製品の輸入」問題をフィーチャーし、大統領「悲願」の関税を実現させようとしている。

今回USTRが持ち出したのが、先ほど出た「通商法301条」だ。

この1974年通商法301条(Section 301 of the Trade Act of 1974)は、相手国の『不公正な貿易慣行』を『是正』させるために、大統領やUSTRに強い報復措置の権限を与える法律だ。その「是正」の規模(税率)や期間には制限がない。

そして今回、「是正」の方法として提案されているのが、調査対象となったすべての貿易相手国に対する「一律最低10%の関税(a minimum 10% across-the-board tariff)」(なお、日本など対応が特に遅れている国は12.5%に上乗せされる)だ。

その対象は、今回調査対象となった60の国・地域に及ぶ。中国は勿論のこと、カナダ、メキシコ、欧州連合(EU)、インドも含む。我が日本もしっかりその対象に入っている。

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「日本の水際対策は甘い」?人権を人質に取った関税のイチャモン

“This creates a dynamic where American workers are forced to compete globally on an unlevel playing field.” 
Section 301 allows the USTR to investigate countries potentially violating other nations’ trade agreements or practices that hurt US business.

「アメリカの労働者が世界舞台で不公平な競争(an unlevel playing field)を強いられるという構図が生む」――USTRのグリア代表はこう指摘した。アメリカが「不公正な慣行」として指摘する対象は、アメリカのビジネスにとって不利になる(hurt US business)ものなら何でもいい。

アメリカが日本国内での強制労働を問題視?…そうではない。「強制労働で生産された製品の輸入禁止措置を適切に導入・執行していない」のが不公正なのだ。

つまりアメリカが言いたいのはこうだ。

日本を含む貿易相手国での強制労働製品に対する水際対策が甘いと、そんなタダみたいな労働力で作られた安い製品がアメリカに迂回して入ってくる。それは立派な、アメリカの貿易に不利益を与える不公正な慣行だと。

ずいぶん飛躍した論理にも聞こえるが、このロジックは巧妙だ。

サプライチェーンから強制労働を排除するという、人権重視の「建前」に対して、良識のある国は正面からは反対できない。したがって、アメリカの貿易相手国にとって、関税に反対することは「強制労働容認」の批判を受けるリスクを負うことを意味するのだ。

そして日本が分類されたのは、「そもそも強制労働による輸入を禁止する明確な制度がない、または対応がより不十分とみなされた国」である、高めの関税の12.5%のグループだ。他に中国、インド、ベトナムがいる。EU、英国、カナダ、メキシコなどがいるのは、不十分さがそこまで深刻でない関税10%のグループだ。

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取る時は自動、返す時は「訴えた奴だけ」。恐るべき国家のディフェンス

Separately on Tuesday, the Trump administration filed an appeal of a federal judge’s ruling that it must repay all $166 billion in tariffs collected under the emergency authority that the Supreme Court overturned. 
The administration began repaying those fees in April but has said it would not immediately repay tens of billions of dollars’ worth of tariffs, including complicated “final” tariff payments for which the importer hasn’t sued the government.

「新たなトランプ関税」への準備を着々と進める傍ら、政権は先週、「関税の全てを返還しろ」とした判決を不服としてしっかり控訴(filed an appeal)している。

もっとも、いくら現政権でも最高裁で無効と確定した結論は争えないし、そこまで厚顔無恥ではない。ただ実態は恐ろしく狡猾だ。

トランプ政権が控訴しているのは、「徴収した1,660億ドルを『全額』返しなさい」とした米国際貿易裁判所による命令の内容に対してだ。

どういうことかというと、政権の言い分は「政府が返還するのは、実際に訴訟を起こした原告だけに限定されるべき」というものだ。最高裁の過去の判例を盾にした、法的な屁理屈とも言える狡猾なディフェンス戦術だ。

実際、輸入業者が政府を提訴していない複雑な「最終」関税支払い分など、数百億ドル相当の関税について政府は「すぐには返還しない」と表明している。

「取る時は自動、無効な税金について政府が自動的に返金する義務はない」という、一見すると横暴な論理だが、これによって数兆円規模の国庫の流出を何としてでも食い止めようという政権の執念が見える。

ただの時間稼ぎか、返還によって空く財政への穴がよほど深刻なのだろうか。還付対象となるすべての支払いシステムがいつ開始されるかは不透明らしい。

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“But if he succeeds, his latest tariffs could be just as drastic as his previous ones. And longer lasting.”

今検討している関税が「成功すれば、前回と同じくらい劇的(drastic)なものになりかねない。そして、より長引く(long lasting)可能性がある。」と記事は指摘する。

負けを認めたくない政権の狂気すら感じる動きだ。ただ、忘れるべきでないのは、関税を払うのは第一にはアメリカ国民ということだ。

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