【Forbes要約】「人間をリストラして、AIに高い金を払う」——テック企業が陥った本末転倒な「AIパケ死」の正体|英文ビジネスニュース日本語解説





この記事の論点:

AIに置き換えるより、人間の方が安い?——高騰するトークン費用とテック企業の終わらない矛盾

— リストラの果てに待っていたのは「割高なAIへの過剰課金」とバブル崩壊前夜の現実を考察

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“...the technology that was supposed to make human labor obsolete is, at this moment, more expensive than the humans it was meant to replace.”

「人間の労働を不要にするはずだった技術は、現時点において、代替しようとしていた人間よりも維持コストの方が高い」

「AIに仕事を取られてリストラされた……」ついつい先日まで、そんなニュースが世間を賑わせていた。

ところが、テック業界の最前線では、すでにそんな段階すら時代遅れになっていたようだ。

企業は、生身の人間よりも割高なAIツールに莫大な資金を投じるために、わざわざ今いる労働者を解雇している。経済合理性から見れば完全に矛盾したこの行動を、今のテック企業は大真面目に実行しているという。

そんな、なんとも皮肉なブラックユーモアについて、今回紹介する記事は報じている。ぜひ全文を読んで欲しい。

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|企業版のAI「パケ死」:Uberの予算が4か月で蒸発したワケ

The usage was enormous. The corresponding value was murkier. Uber’s COO and president, Andrew Macdonald, said publicly that token usage didn’t correlate directly with useful features shipped to users.

AIの利用量は「トークン使用量(token usage)」と呼ばれる。AIが読み込み、書き出した情報量の合計で、スマホのデータ通信量(パケット)に似た概念だ。従量制課金であれば、使った分だけ容赦なく請求がやってくる。

このAI利用料が、テック企業の間で文字通り「天井知らず」になっている。例えばUber社では、2026年のAIコーディング予算全体を、わずか4か月で使い果たしてしまったという。エンジニアたちがコードを書かせるために、AIを文字通り「使い倒した」結果だ。

しかし、UberのCOOであるアンドリュー・マクドナルド氏はこう公言せざるを得なかった。「トークン使用量と、ユーザーへ提供できた価値(メリット)に相関はなかった」と。

要するに、彼は「ものすごい大金を使って、AIを盛大に無駄遣いした」と告白したのだ。

これはUberだけの話ではない。マイクロソフトがエンジニアに対して「AIコーディングアシスタントの使用停止」を命じたり、ある匿名企業では経営陣が利用上限(キャップ)の設定を忘れたために、1か月で500万ドルのClaudeの請求書が届いたりといったトラブルが報じられている。いまやテック業界では、企業版のAI「パケ死」がいたるところで起こり始めているのだ。

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|「福利厚生としてのAI」と、容赦ない解雇の裏側

...Jensen Huang, tells the industry that a $500,000 engineer should consume at least $250,000 worth of AI tokens annually... He has suggested tokens should be a recruiting perk.

その一方で、AIを無限に使い倒すことを推奨するビッグネームもいる。Nvidia(エヌビディア)のCEO、ジェンセン・フアン氏だ。

彼は業界に向けて、こう語っている。「年収50万ドルのエンジニアなら、毎年少なくとも25万ドル(約3,800万円)相当のAIトークンを消費すべきだ」

さらに驚くべきことに、彼はトークンを「採用のための福利厚生(a recruiting perk)」にすべきだと主張している。「うちの会社に入れば、高価なAIが使い放題だよ!」というわけだ。優秀なエンジニアを囲い込むための新たなステータスという位置づけらしい。

だが、その膨大なAI利用費を捻出するために、生身の人間が容赦なく「リストラ」の対象になっていく。実際、テック業界では150社以上で11万5,000人を超える労働者が解雇されているのが現実だ。

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|MITの衝撃調査:AI自動化が経済的に見合うのは「たった23%」

But an MIT study found that AI automation is economically viable in only about 23% of roles. For the remaining 77%, humans remain cheaper.

では、これだけコストをかけた「AIシフト」によって、企業は本当の意味で効率化できているのだろうか?

MIT(マサチューセッツ工科大学)の調査によれば、AIによる自動化が経済的に見合うのは、全体のわずか約23%の役割に過ぎないという。残りの77%の領域では、人間を雇い続けたほうが圧倒的に安上がりなのだ。

つまり、企業は幻想に過ぎない「生産性の向上」を追い求め、人間よりもコストがかかるAIにせっせと課金する、その予算を作るために人間の労働を減らし、さらに減った人間の穴を埋めるために、また割高なAIに課金する――企業は今、そんな無間地獄のループにはまりかけている。

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|AIの「安さ」は幻? OpenAIが1ドル稼ぐために2ドル溶かす理由

OpenAI, Anthropic, Google and Meta are all pricing inference below the cost of serving it, burning venture capital to buy market share. OpenAI spends nearly two dollars for every dollar it earns on inference.

そして、そのAIのコストでさえフェイクだとしたらどうだろう。つまり、人間より割高なAIのコストは、本来もっと高いものなのを、AI会社が意図的に安く見せているものだとしたら。

というのも、企業が現在AI利用に支払っている価格は、実際の価格ではない。OpenAI、Anthropic、Google、Metaはいずれも、市場シェアを確立するために、サービス提供コストを下回る価格で推論機能を提供し、ベンチャーキャピタルから調達した資本を溶かし続けている。

実際、OpenAIは推論で得られる収益1ドルにつき、約2ドルを費やしていると言われている。使われれば使われるほど、提供企業側も大赤字を膨らませる構造になっているのだ。

さらに、企業側の利用実態もチグハグだ。大して高度な思考が求められない単純作業であっても、企業におけるAI利用の約95%は、依然として最も高価な最先端(フロンティア)モデルで実行されている。「本当に、そんなに高価な最新モデルが必要なのか?」——この疑問に気づき、自問し始める企業が徐々に増えているのも無理はない。

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|歴史は繰り返す:「AIバブル崩壊」のあとに来るもの

History already sketched the answer: the internet was real, it still crashed, and what followed wasn’t less internet — it was internet that finally paid for itself. AI is heading for the same sorting, and the divide is already visible.

この狂ったようなコスト構造と、回っていない業界の未来はどうなるのか。歴史はすでに、その答えのヒントを示している。

かつての「インターネット・バブル」は盛大にクラッシュしたが、インターネットという技術そのものが消えたわけではない。バブルの崩壊のあとにやってきたのは、「ようやく自活できる(pay for itself)ようになった、実用的なインターネット」だった。

AIも、まったく同じ選別の道を歩み始めている。「別に最新スペックの最高峰モデルでなくても十分だよね」「無料版や軽量モデルで用が足りるよね」と、人々や企業が現実を直視するフェーズがやってくるということだろう。

もちろん、これは楽観的なシナリオではない。なぜなら、ネットバブルのときと同様に、その手前で「大きなクラッシュ(調整局面)」が訪れることは、すでに既定路線なのだから。

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