FT要約|むしろ「敵」を利する「一律関税」|サクッと読める英文ビジネスニュース
Donald Trump’s new flat-rate tariff is a boost for China and Brazil US allies including UK, EU and Japan hardest hit after Supreme Court rules against previous levies|Financial Times|FEB 23 2026
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“We’ve been in touch with our foreign trading partners, and all of them want to keep the trade deals that have been set,”ベセント米財務長官はこういった。
米国の全ての貿易相手国は「一様に、これまでに設定された貿易合意の維持(keep the trade deals)を求めている」と。
「相手国」がトランプ政権から苦労して勝ち取った「合意」。もちろんその一つは日本なのだが、厳しい交渉の後、約5,500億ドルの対米投資パッケージなどを約束する代わりに、関税率を低く抑える個別合意を取り付けていた。
「相手国」がトランプ政権から苦労して勝ち取った「合意」。もちろんその一つは日本なのだが、厳しい交渉の後、約5,500億ドルの対米投資パッケージなどを約束する代わりに、関税率を低く抑える個別合意を取り付けていた。
苦労した分「維持」を求めるのは当然だろう。
ところがどっこい、今回紹介する記事によれば、トランプ大統領がこのたび新たに導入した15%のグローバル関税は、米国がこれまで激しく批判してきた中国やブラジルなどの国々は恩恵を与える一方で、逆に日本などの同盟国には実質的な増税という「最大の打撃(hardest hit)」となる、「逆転現象」を発生させてしまうらしいのだ。
ぜひ全文を読んで欲しい。
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|「グレー」から「繋ぎ」へ
After the judgment was announced, Trump said he would replace the IEEPA tariffs with a blanket 10 per cent tariff — which he then raised to 15 per cent on Saturday. It is due to come into force on Tuesday, but is only valid for 150 days before requiring further authorisation by Congress.トランプ氏は今回、これまでの「相互関税(IEEPA tariffs)」を「10%の一律関税(a blanket 10 per cent tariff)」に置き換えると表明した。それから一日も経たない土曜日には、関税率を15%に引き上げることを決定した。
これまでの相互関税。「国際緊急経済権限法(IEEPA)」という法律を根拠にしていたので「IEEPA tariff」と呼ばれてきたのだが、先日これが最高裁の多数派判決により「違法」で無効とされた。そのためトランプ政権が急きょ別の法律を根拠に関税を課すことにしたのが、今回の「一律関税」だ。
ただ、この「一律関税」は原則として150日間しか維持できず、継続するには米議会の承認が必要だ。政権はこの「稼いだ時間」で、別の法律による新たな個別関税の準備を進める方針らしい。
もともとグレーだった「相互関税」と、次の関税への繋ぎのための「一律関税」。
アメリカの政治も結構いい加減ということだ。
ところがこの「一律関税」。飽くまでいち調査機関の分析ではあるのだが、これまでの「相互関税」で標的とされてきた(targeted with IEEPA tariffs)中国やブラジルなどの国は、一点して大きな恩恵を被ることになるらしいのだ。
答えは単純。「相互関税」での税率が高かった分、「一律関税」になると『減税』分も大きくなるから(their tariffs fall the most)だ。
もともと中国やブラジルには高い個別関税(20〜30%など)がかかっていた。これらが「一律15%」に置き換わったことで、結果的にブラジルは平均関税率で最大の引き下げ(13.6ポイント減)、次いで中国は7.1ポイントの減少を享受することになる。
トランプ政権にとっては何とも皮肉な結果だろう。いい加減な政策をするからこうなる。
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|中国「あざっす」
“Countries including China, Brazil, Mexico and Canada that were most bitterly criticised by the White House and targeted with IEEPA tariffs under special executive orders have seen their tariffs fall the most.”ところがこの「一律関税」。飽くまでいち調査機関の分析ではあるのだが、これまでの「相互関税」で標的とされてきた(targeted with IEEPA tariffs)中国やブラジルなどの国は、一点して大きな恩恵を被ることになるらしいのだ。
答えは単純。「相互関税」での税率が高かった分、「一律関税」になると『減税』分も大きくなるから(their tariffs fall the most)だ。
もともと中国やブラジルには高い個別関税(20〜30%など)がかかっていた。これらが「一律15%」に置き換わったことで、結果的にブラジルは平均関税率で最大の引き下げ(13.6ポイント減)、次いで中国は7.1ポイントの減少を享受することになる。
トランプ政権にとっては何とも皮肉な結果だろう。いい加減な政策をするからこうなる。
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|日本「…」
Long-standing US allies including the UK, the EU and Japan will suffer the largest hit from the new levy, which the US president introduced after the Supreme Court ruled much of his previous trade policy unlawful on Friday.
The new regime will hit key US allies particularly hard because their exports are more dominated by steel, aluminium and autos — sectors that are covered by other tariffs which remain in force after Friday’s ruling.
他方で、これまでの交渉で低い関税率を勝ち取っていた日本、英国、EUなどの長年の「同盟国」(long-standing US allies)は、一律15%が適用されることで『実質的な増税』となる。
「同盟国」の不安要素は「一律15%」以外にもある。アメリカへの輸出の主力である鉄鋼、アルミニウム、自動車は、さらに「別の関税の対象(covered by other tariffs)」となっており、引き続き有効(remain in force)なのだ。
平均関税率が2.1ポイント上昇するイギリスは、新制度における最大の敗者と目されている。
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本記事では日本についての詳しい記述はない。
日本は2025年9月にトランプ政権と「ベースの関税率を15%とする」という二国間合意(日米枠組み合意)を結んでいる。
ところが、上記の自動車などを除けば同じ「15%」なので大して変わらないのでは?というのは完全な誤解のようだ。
というのも、今回の「15%」。日本からすれば、せっかく巨額投資(5,500億ドル)を約束して勝ち取った「優遇レート」が、何もしていないライバル国にも適用されてしまい、相対的なメリットが消滅してしまったといえる。
この「割に合わない」取引。日本の為政者の対応はいかに…
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