FT要約|私のオイル輸入を決行して|サクッと読める英文ビジネスニュース

 What is Trump’s plan for Venezuelan oil?|Financial Times|2026.01.05





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Venezuela’s opposition leader had a simple message for the US energy industry last March: Come and get our oil.
「我々の石油を採りに来てください(Come and get our oil)」

ベネズエラの野党指導者が昨年3月に米国のエネルギー業界に送ったメッセージだ。

そして、行動は新年早々に起こされた。

1月3日、トランプ政権は軍事作戦「Absolute Resolve(絶対的決意)」により、マドゥロ大統領をベネズエラ首都カラカスで拘束・移送した。

今回の介入の目的は、ベネズエラが擁する世界最大級の原油埋蔵量(世界全体のうち17%)の掌握と言われている。

さらに今週の報道によれば、米国政府は最大20億ドル相当のベネズエラ産原油を米国に輸出することで同国と合意したとのことだ。これまで同国産原油の最大の供給先であった中国は、今後は米国に切り替わることになる。

今回紹介するFT記事は、今回の介入で恩恵を受ける者は誰かについての分析を伝えている。

興味深い内容なのでぜひ全文を読んで欲しい。


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|「途方もない富」

Donald Trump said a US takeover of Venezuela’s oil industry would generate a “tremendous amount of wealth” that could support a new government and compensate US oil companies who had their assets seized under Chávez.
トランプ氏によれば、米国のベネズエラ石油産業への関与が「途方もない富(tremendous amount of wealth)」を生み出すらしい。

では、その富はどこへ行くのか。「チャベス政権下で資産を差し押さえられた米国の石油会社への補償(compensate)」とトランプ氏は答えた。

「補償」というのは、アメリカの石油会社は、過去にベネズエラ政府に資産を接収(国有化)された件についてだ。
1976年に「石油の主権」を掲げたチャベス大統領は、一度外資に開放した石油産業の「再国有化」を行った。

その時ベネズエラ政府は、外資の石油会社に対して国営石油会社(PDVSA)が少なくとも60%の権益を持つよう求め、拒否したエクソンモービルとコノコフィリーズの資産は一方的に接収された。

他方で、要求を受け入れたシェブロンは現在も特別ライセンスの下で活動を続けている。現場に残り続けていたシェブロンは、今回の「ディール」の最大の勝者とされている。

撤退したエクソンモービルなども、今回の「補償」という形で日本円で10兆円規模の利益を得るといわれている。


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|肝心な「石油を採りに来て」はどうなる?

But restoring Venezuela’s oil industry after years of corruption, mismanagement and decay will be neither quick nor cheap.  
Industry insiders warned it could take years, and tens or even hundreds of billions of dollars, at a time when US oil majors are under pressure from weaker crude prices.
では、ベネズエラ野党がもとめる「石油を採りに来て」は再開するのか。

トランプ政権は猛烈にプッシュしているが、企業側は極めて慎重と温度差があるのが現状だ。

というのも、ベネズエラにおける長年の汚職、不透明な管理、衰退(years of corruption, mismanagement and decay)を考えると、ベネズエラの石油産業を回復させるのは、迅速でも安価でもない(neither quick nor cheap)からなのだ。

特に今、米国の石油メジャーは原油価格の下落にさらされている。そんな中、時間も費用がかかるプロジェクトにコミットすることに彼らは二の足を踏んでいる。


つまり、遠い将来にベネズエラ政権が再び収用の誘惑に駆られる(tempted by expropriations even in the far future)ことはないという明確な見通しがなければ、「昔会ったことはまた起こり得る」ものとして、企業としては資本投入に消極的にならざるを得ないのだ。


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|ベネズエラ国民的にはウェルカム?

Control over Venezuelan supply would also allow Washington to squeeze China, currently Caracas’ largest buyer.  
“We’re not going to allow the western hemisphere to be a base of operations for adversaries, competitors, and rivals of the United States, simple as that,” Marco Rubio, US secretary of state, told NBC’s Meet the Press on Sunday.
「西半球(the western hemisphere)が米国の敵対者、競合相手、ライバルの活動拠点になることを許さない。」

日本だと外務大臣にあたるルビオ国務長官のコメントだ。

『西半球』とは、地理的には南北アメリカ大陸とその周辺諸国を指し、トランプ政権の外交方針では「米国の排他的な影響圏」を意味する。この言葉は最近新聞によく出てくる。

ベネズエラの石油ゲットが「米国の排他的な影響圏」の防衛と何の関係があるのか。

答えは中国への石油供給の排除だ。ベネズエラの供給をコントロールすれば、ワシントンは現時点でベネズエラの最大の買い手である中国を追い詰めることができる、というわけだ。

実は、長年の政治機能不全により「石油産業の破壊(the destruction of the oil industry)とともに経済も破壊された(the destruction of the economy)」ベネズエラにとっても、今回の米国による原油掌握が恩恵をもたらすかもしれないのだ。


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Selling oil to the US rather than China would also improve cash flow: much of the exports to Beijing are used to service at least $10bn in outstanding loans.
どういうことか。実はベネズエラにとっては、中国ではなく米国に石油を売ることは、キャッシュフローの改善に繋がる(improve cash flow)らしい。

というのも、北京に原油を売っても、その殆どは、かつてベネズエラが中国から受けた融資の返済(少なくとも100億ドルが未払)に充てられていた。つまり、ベネズエラにとっては何の純収入も生まなかったのが中国との取引だ。

さらに記事によれば、借金返済に充当されない分の石油も、中国には安値で買い叩かれていたとのことだ。

「国際法違反・主権侵害」と批判するあの国も、別に善人ではない。


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今回の大騒ぎ。将来の大国間の争いの新たな端緒となるか。

もっともベネズエラにとっては、搾取される先が切り替わるだけ、なのかもしれないが。


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