教育の無償?それとも教育の質?|FINANCIAL TIMES|2025.02.24
FT | Students on streets mount challenge to Pravowo | 2025.02.24
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自公維新の間で先日合意に至った高校授業料の無償化。必要経費は最大で6,000億円程度だそうだ。
この合意の中には学校給食の無償化も含まれているとのことだが、
遥か南西のインドネシアでは、学校給食の無償化案に大学生がデモまでして反対しているそうだ。
2月24日付 Financial Times | Students on streets mount challenge to Pravowo
遥か南西のインドネシアでは、学校給食の無償化案に大学生がデモまでして反対しているそうだ。
2月24日付 Financial Times | Students on streets mount challenge to Pravowo
では、4か月前に新しいプラボウォ新大統領に代わったインドネシアにおいて、
就学児童に食事を無償で提供するという予算280億米ドル相当の政府案に反対する、全国的な学生デモが起こったとのニュースを伝えている。
学生達が掲げるメッセージからとって、この動きは「ダーク・インドネシア(Indonesia Gelap)」デモと報道されているが、この「ダーク」はインドネシア政府が掲げる「ゴールデン・インドネシア」構想(=2045年までに先進国入り)へのあてつけだそうだ。
それでは一緒にポイントを読んでいこう:
就学児童に食事を無償で提供するという予算280億米ドル相当の政府案に反対する、全国的な学生デモが起こったとのニュースを伝えている。
学生達が掲げるメッセージからとって、この動きは「ダーク・インドネシア(Indonesia Gelap)」デモと報道されているが、この「ダーク」はインドネシア政府が掲げる「ゴールデン・インドネシア」構想(=2045年までに先進国入り)へのあてつけだそうだ。
それでは一緒にポイントを読んでいこう:
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|給食無償化反対!
Indonesia's plans to spend $28bn per year on free meals for schoolchildren have triggered unlikely opposition from students angry at looming spending cuts on higher education.
で本記事は始まる。デモを起こしているのは「higher education」への予算削減を憂う学生ということで、当然ながら給食費無償の恩恵を受ける学生が反対しているというわけではないことが分かる。
とはいえ、給食費も高等教育費用も両方「無償化」の対象として議論されている日本のような国から見ると、給食無償派も高等教育無償派も、お互い「無償」を目指しながら対立しているような違和感を覚える。
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|教育の質:まともな仕事に就けるということ
この違和感は少しだけ読み進めれば解消する。The students oppose Prabowo's call to slash government spending, including education, to fund his flagship policies, chiefly the free meals programme, which ...から始まるパラと、それに続く3パラぐらい読めば、この記事の必要な部分はほぼカバーできたといえる。同じパラに、デモに参加した大学生のコメントが紹介されているが;
The free meals programme is "not effective because it sacrifices education", ... "What the public need is ... proper education to get proper jobs"
の記述と、その次にある;
The middle class has been shrinking for the past six years as the commodities giant has struggled to create enough formal jobs.で終わるパラを読めば、同国における厳しい状況が分かる。
内容としては、
- 資源リッチで、かつ15-24歳の人口が4,400万人強と若者の多いインドネシアであっても、いわゆる「食える」仕事に就く機会は若者に十分に与えられておらず、
- そのような中、大規模な歳出削減策として高等教育の予算を減らし、その代わりとして新政権の看板政策である8,200万人への無償給食は進めるという政府の方針は間違っている、
また、記事の中盤にあるが、評論家が言うには、
- 既に同国の多くの若者はスキル不足のため高サラリーの職につけておらず、
- そんな中での無償給食案は、子供の栄養状態改善などの一定の目的があることは理解できるが、「既にひっ迫した財政において最も効率的な予算の使い方とは言えない」
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|今すぐ国を捨てろ!
とはいえ、結局は予算使途の優先順位の問題であるから、この対立は、大学生・高校生と小中学生との間の財政リソースを巡る世代間争いのようにも見える。ただ、
A hastag KaburAjaDulu, or "just flee first", has gone viral in recent weeks, as social media users encourage....を含むパラにあるように、若者の間ではSNS上の「いいからさっさと逃げろ(just flee first)」という言葉がバズっているらしく、若者の危機感は相当ということである。
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どこの会社も新卒確保に躍起、他方でせっかく入った若者は金を払ってまで退職代行、という日本ではこのような対立は起こりにくいかもしれない。他方で、見方によれば、そういう状況だからこそ、日本では教育の質よりも「無償化」を呑気に議論できている、とも言えないだろうか。
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