攻守交替したAI開発|Financial Times|サクッと読める英文ビジネスニュース

OpenAI’s Sam Altman declares ‘code red’ after rivals make advances|Financial Times|2025.12.2



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He told employees the $500bn start-up was planning to delay other products as “we are at a critical time for ChatGPT”.
「ChatGPTにとって今は極めて重要な時期だ」だそうだ。

企業評価額が5,000億ドル(約74〜75兆円)に上る、OpenAIのトップのコメントだ。

因みに、日本の会社で時価総額トップのトヨタは約48兆円(約3,200億ドル)だ。

「極めて重要」とは、OpenAI社にとって、同社のアイデンティティであるChatGPTの速度、信頼性、パーソナライズ機能の向上を、
他の製品の開発を遅らせてまで注力しなければならなくなったことを指す。

この転換の理由、先日Googleが最新の大規模言語モデル「Gemini 3」を発表したところ、それがChatGPTの性能を勝ることが分かったからなのだ。

まさに『攻守交替』と言ってよい事情。今回紹介するFT記事が伝えている。

ぜひ全文を読んで欲しい。


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|「コード・レッド」

OpenAI chief executive Sam Altman has declared a “code red” over the need to improve ChatGPT, as rivals Google and Anthropic narrow its early lead in the race to develop artificial intelligence. 
That means the company will push back plans to develop advertising products, AI agents intended to automate shopping and health-related tasks, and Pulse, which produces personalised morning updates for users.

「Code Red(コードレッド)」とは、「非常事態」宣言のようなものだ。
企業が最高レベルの緊急事態に対応するための警告や体制を意味する言葉だ。

OpenAIにとっての「非常事態」とは、Googleなどのこの分野では「後進」勢が、人工知能開発競争でOpenAIの初期優位を縮めている(narrow its early lead in the race)事態を指す。まさに脅威を感じているのだ。

同社はこれを受け、周辺プロジェクトの開発を後ろ倒しにする。具体的には、広告関連製品、買い物や健康関連タスクを自動化するAIエージェント(AI agents intended to automate shopping and health-related tasks)などのプロジェクトらしいのだが、検索としてAIを使用している人にはまだ不要と思われるものだろう。

それらの周辺サービスも、根本のAI自体の精度自体が他より劣ってしまうようでは、利用者に選ばれなくなってしまうのだ。
OpenAIがChatGPTを初めて公開して以来、人々はそれを検索エンジンとして使った。これはGoogleにとっては、検索における同社の支配的地位に対する脅威(threat to Google’s search dominance)であった。

しかし3年を経た今、Googleは逆転した。

というのも、Googleはもともとの巨大なユーザーベース(an existing massive user base)を有しているのだが、今度はそれに今度は精度の高いAIモデルを製品に直接統合できる(can integrate these AI models into these products directly)ようになるのだ。便利さから言っても無敵なのだ。


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|今さら後塵を拝せぬ理由


OpenAIとしては、これまで期待されてきた分、中途半端では終われない。

お金の面に関しては言えば、マイクロソフトが2019年以降に投資した累計約135億ドルを含め、これまでの累計調達額は約179億ドル(約2.6兆円)に上る。その他にも、ソフトバンクグループは総額約300億ドル(約4.4兆円)をコミット(既存+追加投資)している他、NVIDIAがGPUを供給する見返りにOpenAIに投資するディールなども含む。

これでAIの精度は準一流、では困るのだ。


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さらに、AI自体に対する評価も変化しつつある。

特に、今、誰もがAIバブル(AI bubble)について指摘している中、何兆ドルもの投資が本当に意味のある成果を生むのか、投資回収はあるのか、が問われている。

同社がAI企業の代名詞としてい続ける限り、その問いに答えなければならない。

つまり、最強モデルを持ち競争の最前線にいるかのみならず(not only competing on the frontier)、投資回収がどこで起きるか(Where are we going to see that return on investment?)についても答えなければならないのだ。

まさにクリティカルな時期だ。OpenAIは正念場を迎えている。。

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