「コーヒー依存」のアメリカは政策キャンセル界隈|CNN|サクッと読める英文ビジネスニュース

Sorry, America. Coffee prices probably aren’t coming down|CNN|2025.11.14




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If Trump lowers coffee tariffs thinking he’s going to get Americans relief, he picked the wrong product. We the people may not like paying more for coffee, but we do it anyway.
「コーヒーの関税を下げて国民に救済を与えようとしているなら、その選択は間違い」
CNN記者はこう断罪する。

今月の初め、複数の地方選挙で敗北した共和党は、「affordability(価格の手頃さ)」をキーワードに幾つかの対策を行うことを仄めかすようになった。一人あたり2,000ドルの関税還元策もその一つだ。政権が急に国民に媚を売るように見えるところが、どこかの国と共通する。

その「媚」の一つが、この「コーヒー関税引き下げ」なのだが、本CNN記事は「効果なし」とメッタ斬りにしている。

興味深いのでぜひ全文を読んで欲しい。


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|二重?の誤り

“You’re going to see some substantial announcements over the next couple of days in terms of things we don’t grow here in the United States ? coffee being one of them, bananas, other fruits, things like that,” 
“So that that will bring the prices down very quickly.”
「今後数日以内に、アメリカ国内で生産していないもの、例えばコーヒー、バナナ、その他の果物などについて、かなり大きな発表があるでしょう」
「それらの価格はすぐに下がることになるだろう」

財務長官のベッセント氏がメディアに語ったコメントだ。

今月始めに民主党候補のマムダニ氏が歴史的勝利を収めたニューヨーク市。この他にも、ニュージャージー州知事選、バージニア州知事選でも共和党は敗北を喫した。同党はそれらの敗因を物価高・経済への不満と見た。

それで、特定の品目について関税を下げる又は適用除外にすることを「物価高対策」として行うことを思いついた、というわけだ。

ところが、選挙に大敗して国民にすり寄らざるを得なくなったこれらの共和党案に対し、CNNはいろいろ「誤り」があるとダメ出しをする。順にチェックしていこう;

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This is interesting for a couple of reasons:
Bessent here is implicitly acknowledging that tariffs do increase prices on American consumers - a fact the Trump administration has long denied.
「ベッセント氏は、関税がアメリカの消費者価格を押し上げることを暗に認めている(implicitly acknowledging)」

これが最初の誤りだ。『追加関税措置 → 物価高』はトランプ政権が長らく否定してきた事実だ。経済専門家などからずっと指摘されてきたことだったのだが、いざ景気対策を検討する段階でいよいよ、共和党にとっての「不都合な事実」に向き合わざる得なくなったわけだ。


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もう一つの誤りだが、それは、関税を下げればコーヒーが安くなるだろうという読みだ。

確かに、小売価格が前年比で約20%上昇と「うんざりするほど高くなっている(annoyingly expensive)」コーヒーには、トランプ関税の影響がある。

というのも、主要なコーヒー輸出国には、結構なトランプ関税が適用されている。ブラジル(50%)、コロンビア(10%)、ベトナム(20%)など、これら国への高関税措置は、間違いなくコーヒーに関係するコストと最終価格を押し上げているだろう。

他方で、もともと労働集約的で栽培が難しい作物であるコーヒーにには、最近の非常に不安定な天候のせいで収穫が減っているという事実がある。この傾向は数年前から続いており、関税はなくてもコーヒー価格は上がっていた、というのがCNNの指摘だ。



アメリカ人がコーヒーをあまりにも愛している
単純かつ明快だが、これが理由だ。

事実、全国コーヒー協会によると、価格が上がってもコーヒーの消費量は安定しているとのことだ。日本ではコメが高くなりすぎてそろそろ買われなくなり始めたと聞くが。

コーヒーはそうはならないのだろうかか。記事は分かりやすく解説してくれている。


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because coffee feels like both an essential and a worthwhile indulgence. There may be no other consumer product that Americans are more devoted to across income levels, political leanings, geography, age, race, gender, you name it.
アメリカ人にとってコーヒーは必需品(an essential)であり、価値ある贅沢品(a worthwhile indulgence)なのだそうだ。

「所得層、政治的傾向、地域、年齢、人種、性別を問わず、これほど幅広く愛されている消費財は他にない」ということらしい。つまり、コーヒーに代替するものが現状見当たらないのだ。コメの代わりに麺で炭水化物をとればいいや、というようにはいかないようだ。

その辺の事情はスタバなどの会社もよく心得ている。したがって価格に対してでいられる、ということらしい。


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“It’s a principle that applies to most businesses, that once you take price increases, you tend not to give them back,” he told CNN. 
Big chains like Starbucks or Peet’s, he said, are likely to hold strong on prices even if the tariffs go away because their core customers haven’t been deterred by higher prices.
「ほとんどのビジネスに当てはまる原則ですが、一度値上げすると、元に戻すことはほとんどありません」と専門家は言う。

日本で議論されてる食料品一般に対する消費税減税(若しくは撤廃)も、同じことだろうか。減税によってその分だけ瞬間的に安く見えるかもしれないが、ビジネスにとってはその分は消費者にとって耐性があると言える値上げ余地、と見られていることかもしれない。


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実は、経済に不満を持つアメリカ人の割合は、バイデン政権時よりも今の方が多い。

日本もそうだが、一旦この状況になってしまうと、小手先の対応は火に油を注ぐことになることが多いのではないだろうか…

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