互いの批判で米中交渉は怪しい雲行きに… |Financial Times|2025.06.03

FT|Beijing accuses US of 'violating' trade truce|2025.06.03




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"The fact that they are withholding some of the products that they agreed to release during our agreement, maybe it's a glitch in the Chinese system, maybe it's intentional,...
対中国関税交渉の責任者であるベッセント財務長官のコメントだ。

ここでの「they」は中国のことを指す。「withhold」とか「release」とかいっている対象とは、中国が対米輸出の制限を緩和すると『合意した』はずのレアアースのことを指す。

そのレアアースがアメリカになかなか来ない。その原因についてベッセント氏は、「ちょっとした支障が生じている(a glitch)」かもしれないし、「意図的(intentional)」かもしれないとコメントした。相手を刺激したくないのなら「意図的」のコメントは余計だった。

6月3日付のFT記事「Beijing accuses US of 'violating' trade truce」は、そんな米中関税合意の雲行きがどうも怪しくなりつつある点について興味深く伝えている。


5月 12 日、スイスのジュネーブで行われた米中間の協議を経て、電撃な関税合意が公表された。90 日間の時限措置ではあるが、米国は中国製品への関税を 145%から 30%に、中国は米国製品への関税を 125%から 10% に引き下げることとなった。

ところが、アメリカが「would restart the flow」と期待していたレアアースが、思ったようにアメリカにやってこない。レアアースがなければスマホも EV の製造もストップしかねない




中国は先の合意に「完全に違反した(totally violated)」とのことだ。

ただし、正確にいうと、ジュネーブでの合意に関する共同声明では、中国がレアアースへの輸出管理措置を緩和することは明示されていない。もっとも近い記述でも
、「China will (ii) adopt all necessary administrative measures to suspend or remove the non-tariff countermeasures taken against the United States since April 2, 2025.」だ。だから飽くまで「would restart」なのだ。それでも「totally」な違反である!と言い張ることができるアメリカにザワザワする…
上の文の「This」はアメリカからのレアアースの催促を指すが、中国もレアアースの輸出許可を急いでいた。それでも中国による輸出が滞っているのは、よくあるお役所手続(bureaucratic)のせいのようだ。輸出許可を得られずに出荷ステータスが「宙ぶらりん(in limbo)」になっているレアアースも相当あるようだ。
米国がHuawei製のチップに輸出管理を行い同チップを使用することを世界的に止めていることや、中国人留学希望者に対するビザ手続を停止したことが、中国側に居直る口実を与えることとなった。中国側は「正当な権利(legitimate rights)」を損なわれたとまで言った。こちらは合意を守っているにもかかわらずメンツを汚された、と抗議しているようなものだ。


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そもそも両国とも、相手が欲しがる条件は「高く」売りたい。

米国は半導体技術で優位、中国はレアアース資源で優位という構図にあり、両国ともに、これらを「交渉の武器」として使い、経済安全保障の観点から譲れない分野となっている。

ちょっとした失言などをきっかけにお互いが上手を取りたいという状況だろう。果たして、猶予期間が終わりを迎える90日後の状況はいかに…


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