FT要約|トランプ関税を乗り切ったアジア|サクッと読める英文ビジネスニュース

How south-east Asia is riding out Trump’s tariff storm |Financial Times|2026.01.05




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“The tariffs haven’t affected anyone.
「(トランプ)関税は誰にも影響を与えていない(haven’t affected anyone)」 

カンボジアの繊維協会はこう語る。

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South-east Asia has weathered Donald Trump’s tariff blitz thanks to US demand for tech, cheap manufacturing costs and the rerouting of goods from China, analysis of trade data shows.
年始早々のベネズエラ介入でもはや霞んでしまった「トランプ関税」。

だが「東南アジアはトランプ大統領による『関税電撃戦(tariff blitz)』を乗り切った」そうだ。

今回紹介するFTの記事は製造拠点を米国に回帰させるというトランプ関税の当初の目標が、実現しなかった背景についての分析を伝えている。

ぜひ全文を読んで欲しい。

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|健闘する東南アジア

In Cambodia, a big manufacturer of footwear and clothing, trade with the US has continued to grow despite receiving a 49 per cent tariff in April.  
昨年の4月に打ち出されたトランプ政権による「相互関税(Reciprocal Tariffs)」。

ベトナム(46%)やカンボジア(49%)など、ASEAN諸国に対して極めて高い関税率が提示された。

しかし、各国の外交努力により、これらの関税は結局19%〜20%程度に引き下げられることになった。
ちなみに、日本は15%で妥結、中国は11月の米中首脳会談を受け、現在は一時的な緩和状態(実質 20〜32%)にある。


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中国を除けば、アメリカが関税率を引き下げたのは日本と同じ理由だ。

すなわち、東南アジアの国も「一定の引き下げの見返りに米国産品の市場開放を行う」という形のディールをアメリカと合意したからだ。

それら東南アジア諸国、冒頭に書いた通り、危機を乗り切った。

例えば、4月には49%という絶望的な率の関税を示された(後に19%に引き下げられた)カンボジア。アメリカには主に靴や衣類を製造して輸出しているが、対米貿易は関税導入後も成長し続けている(trade with the US has continued to grow)。



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|減らない米国への輸出(むしろ増える)

Goods exports from south-east Asia to the US rose 25 per cent between July and September relative to the same period in 2024 despite the US president’s trade war, according to data from the US Census Bureau. 
The increases defy fears following Trump’s “liberation day” in April that tariffs would hammer the region.

 東南アジアから米国への物品輸出に関しては、2025年7〜9月期で前年同期比(relative to the same period in 2024)25%も増加。


4月の「解放の日(“liberation day”)」以来トランプ大統領が仕掛けてきた貿易戦争は、これらの地域経済に打撃を与えるはずだった。

結果は寧ろ逆だ。当初言われていた懸念は打ち消される(defy fears)こととなった。

果たして何を間違ったのだろうか。

トランプ関税を含めても、アジアで製品を製造するコスト上の優位性は半端ない。その優位性は、20%の関税があるからといってに
アメリカの輸入業者が拠点を別の国や地域に移転させる価値はない(not worth relocating over)ほどデカいのだ。


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|迂回輸出も好調

The amount of trade rerouting from China — which is subject to a reciprocal tariff of 37 per cent — has been rising since Trump’s first presidency, reaching an all-time high of $23.7bn in September, 
As a result, it estimates that indirect exports from China to the US are now of a similar magnitude to direct trade between the two economies.

さらに、東南アジアへのトランプ関税の影響がそれほどでもなかったのは、中国から東南アジアに迂回(rerouting from China)する輸出も好調が続いているという事情もある。

この迂回輸出。当然アメリカには関税回避策だとして問題視され、37%の相互関税の対象になっているのだが、それでもこの迂回による貿易額は過去最高に達して(reaching an all-time high)いる。

なんと今では、こういった中国から米国への「間接的な輸出」の規模は、両国間の「直接貿易」に匹敵する大きさ(a similar magnitude to direct trade)まで成長したそうだ。

東南アジアとしては、これまで中国がアメリカに輸出してた分をごっそり貰ったことになる。


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|ユニバーサル=条件はみな同じ

“The tariffs haven’t affected anyone. We are at 19 [per cent]. Our competitors are at 20. What’s the difference? . . . If you hit everybody evenly, then you hit nobody,” he said.
「全員を平等に叩けば、誰も叩いていないのと同じだ(If you hit everybody evenly, then you hit nobody)」

冒頭のカンボジアの繊維協会のコメントだ。結局はこれに尽きるようだ。

「相互関税」の税率は、各国の外交努力の結果、どの国を見ても極端な差がのない数字に落ち着くことになった。

つまり、競合国も同様の関税に直面している以上、「関税は誰にも影響を与えていない(The tariffs haven’t affected anyone)」。

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だとすれば、トランプ関税はやる意味がなかったのか。
そうでもない。

下がったとはいえアメリカにとって輸入品は高くなった。顧客であるアメリカのバイヤーは、関税の影響を相殺するために値引きを要求しており、その分、業界全体で利益率が圧迫されているそうだ。

壮大な社会実験は、結局は庶民にツケを回すことになっている。


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