iPhoneメイドインUSA…それ本気?|Financial Times|2025.05.16

 FT|Apple plan to sidestep tariffs by using Indian sites draws White House censure|2025.05.16




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... the US president said he had "a little problem with Tim Cook yesterday"...
「昨日ティム・クックと若干の問題があってね」
カタールに外遊中のトランプ大統領の発言だ。

一国の元首に「問題がある」と言われて平気な国民はそうそういないだろう。

16日付FT記事「Apple plan to sidestep tariffs by using Indian sites draws White House censure」は、アップルがトランプ関税の影響を回避するために取ろうとした策が、大統領にとっての地雷だった件について伝えている。

是非リンクから全文を読んで欲しい。


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|iPhone メイド・イン・インディア

... after the Apple chief executive confirmed last week that Indian factories would supply "majority" of iPhones sold in the US in the coming months.
これが「a little problem」の正体だ。アップルCEOのクック氏はアメリカで売られるiPhoneの「大部分(majority)」を数ヶ月内にインドの工場で製造すると言ってしまった件だ。


Donald Trump has hit out at Apple's plans to produce more iPhones in India as a way to avoid American tariffs on Chinese-made goods, as he pushes the tech group to manufacture its best-selling device in the US.
アメリカで一年に売れるiPhoneは6,000万台強だそうで、クック氏はこの全てについて、来年末までにインド工場での生産に移すことを計画しているそうだ。

もちろん、中国産の製品に課されるトランプ関税を回避するためだ。アメリカで購入するiPhoneは現在、一時的に関税免除措置が適用されているが、この措置は将来的に撤廃される可能性がある。そうすると関税の復活により、iPhoneは今より17%ぐらい値上がりすると言われている。


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|アメリカでiPhoneつくれる?

Apple in February pledged to spend $500bn in the US during Trump's four years in office, including chips and servers for AI.
クックCEOも別に最初から大統領に目を付けられようとしてたわけではない。今年の2月、今後4年間で米国に5,000億ドルを投資すると発表していた。具体的には、AIサーバーを生産する工場を
テキサス州に建設することや、国内での研究開発などのために約2万人を新規雇用すると表明したばかりだ。


But the company faces huge challenges in replicating in the US its vast Chinese supply chain and production facilities, which rely on a skilled high-tech manufacturing workforce that is overwhelmingly concentrated in Asia.
ところが現実はそう甘くない。中国で築き上げたサプライチェーンや製造施設をアメリカで再現するのは容易ではない。しかも、頼みとするハイスキル労働力の層はアメリカよりもアジアの方が圧倒的に(overwelmingly)厚い。いまアメリカでiPhoneが作られていないのには理由があるのだ。

専門家によれば、製造が可能になるまでに数百億ドルと何年もの時間が必要なるとのことだ。その頃トランプ政権が終わっていたら、アップルにとってはこれ以上ないムダな投資になる。



... Cook had told him the US would need "robotic arms" to replicate the "scale and precision" of Chinese manufacturing. "He's going to build it here," Latonic told CNBC.
"And Americans are going to be the technicians who rive those factories. They're not going to be the ones screwing it in."
商務長官であるラトニック氏、この人は金融界の出身だが、CNBCという米のビジネスニュースで、クック氏から言われたことを喋ってしまう。

なんとクック氏は、アメリカでiPhoneをつくるのは、工場ワーカーの手ではなくてロボットアームでなければならないと言ったそうだ。これはアメリカ人のスキルに期待していないという趣旨なのか、それともアメリカ人には中国の工場ワーカーと同じことはさせられない趣旨だろうか…


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ただ、商務長官はアメリカ人は「screwing it in」はしない、つまり手でiPhoneの組み立てなんかしないと明確に言っていた。

…であれば、そういった高度人材こそ、新政権が創造しようとしている「雇用」のイメージかもしれない。本当にそう思ってるのか疑問ではあるが…

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