スタフグレーションの足音?|FINANCIAL TIMES|2025.03.20

FT|Fed slashes growth forecast as Trump tariff effects muddy economic outlook|2025.03.20





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3月18‐19日に開催された米国FOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利(4.25-4.5%のレンジ)が二会合連続で据え置かれた。

この結果は市場の予想通り。

日銀もECBもそうだが、金融政策が据え置かれた政策会合に関するニュースは、今後の経済見通しが変化したかを報じる。FT記事のタイトルの通り、今回の会合では経済の予想と物価の予想が見直された。

3月20日のFT記事「Fed slashes growth forecast as Trump tariff effects muddy economic outlook」では、この見通しの変更に関して、米国はスタフグレーション(景気停滞とインフレの同時発生)に入ったとする米投資会社エコノミストの指摘を伝えている。スタグフレーション(stagflation)とは、stagnationとinflationを合体した用語だ。

それでは一緒にポイントを読んでいこう;


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|「スタグフレーション」入り?

The Federal Reserve yesterday slashed its US growth forecast and raised its inflation projection, underscoring concerns ...
で本記事は始まる。FTの読者は金利据え置きの決定自体は既にどこかで知っているだろうから、冒頭に持ってくるほどのニュースバリューはない。

The Fed's latest set of projections showed officials now expect GDP to expand 1.7 per cent this year, with price forecast to rise 2.7 per cent.
が今回発表されたGDP成長率と消費者物価上昇率の見通しだ。昨年の12月における予想がそれぞれ2.1%と2.5%だったということなので、今回Fedが示した見通しでは、成長予想は下落、インフレ予想は上昇しているということだ。


原因は明らか。新政権による関税強化に他ならない。
Fed chair Jay Powell said after the meeting that the US president's plan to hit trading partners and other countries with sweeping tariffs had affected the bank's outlook for inflation and the economy.


経済成長の減速とインフレの加速。これらが何を示すかというと、投資会社のエコノミストによれば;

The Fed has "signalled essentially that we are in a stagflation economy, with lower growth and higher inflation," said ...
ということだ。「スタグフレーション入りした!」と叫ぶエコノミストはどの国でもいるようだ。


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|中銀ができることは

ただ、このエコノミストの次の指摘は、当たり前ではあるが興味深い;
"Stagflation is a very complex challenge for the Fed: should they listen to growth, meaning they should cut rates, or should they listen to higher inflation, meaning they should be hiking rates?"

内容としては、経済を支えろという人からは「利下げ!」と言われ、インフレをどうにかしろという人からは「利上げ!」と言われる状況にFedあるということだ。

今の日銀もそうだろうか。円安と物価高をどうにかしろという人からは「利上げ!」と、日本株投資家や変動の住宅ローンを借りてる人(あと国も?)からは「利上げはもう停止!」との声がありそうな状況ではないか。


今後の金融政策の見通しについては、2.5%ポイントの利下げが今年1、2回あるとしており、これは昨年12月から変わっていない。ただし;
However, four FOMC members now expect no cuts at all this year, against one in December.
ということで、今年はもう利下げはないとする委員の数は増えている。



非常に短い記事だが、やはり海外の出来事は英文ニュースで読むべき、といえるほどの内容のリッチさである。
        

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