銀行もBNPLしてくれる時代?|FINANCIAL TIMES|2025.03.14
FT|Big banks chase fintech start-ups in contest for deferred payments business|2025.03.14
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最近の金融サービスでBNPLというものがある。
「BNPL」とはBuy Now, Pay Later の略で「後払い決済サービス」と訳される。その名が示す通り、商品やサービスを支払なしで購入でき、対価は後日(分割で)支払うことができるサービスのことだ。
「クレジットカード一括払い+翌月に銀行引き落とし」しか使っていない人からすると、BNPLをわざわざ使用するメリットは分かりづらい。
「クレジットカード一括払い+翌月に銀行引き落とし」しか使っていない人からすると、BNPLをわざわざ使用するメリットは分かりづらい。
他方でアメリカでは、JPモルガンやシティといった大銀行がBNPLサービスに乗り出しているという。こういった銀行はクレジットカードのビジネスもやっているのに、なぜBNPLサービスに手を出すのだろうか。
3月15日のFT記事「Big banks chase fintech start-ups in contest for deferred payments business」を読めば、BNPLに馴染みがなくともこの疑問は解消する。
それでは一緒にポイントを読んでいこう;
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|Interest freeのカラクリ
Banks are trying to catch up to one of the hottest trends in consumer finance ... , allowing clients to buy what they want, when they want it, and pay later on instalments - usually interest free.から始まる最初のパラと次のパラで本記事の概要を掴みたい。
内容としては、JPMorganやCitigroupといった大銀行がフィンテック業者と提携し、BNPL(buy now, pay later)のオプションのあるローンの提供に踏み切ったことを伝えている。
この動きの背景にある米国の銀行リテールビジネスの状況について、記事は中程で説明している。銀行のリテール部門はBNPLにどんどんビジネスを取られているとのことだ。
この動きの背景にある米国の銀行リテールビジネスの状況について、記事は中程で説明している。銀行のリテール部門はBNPLにどんどんビジネスを取られているとのことだ。
One of the reasons for the drop has been the growth of deferred payments, which is taking away business from the bank's highly profitable credit card divisions.「deferred payments」とはBNPLみたいなサービスを指す。BNPLがクレジットカードに勝ってしまう仕組みとしては、利用者にとって購入の時点でキャッシュが出ていかないのはBNPLもクレカも一緒だが、分割払いにした場合、クレジットカードでは金利や手数料が発生する(しかも高い)ことに対し、BNPLではそれらが発生しないということだ。
The instalment loans are generally spread over four payments and charge consumers little or no interest.以降のパラ4つぐらいは必読だ。BNPLが成立する仕組みについて簡潔に解説してくれている。
BNPLでは通常、借りた額は4か月で分割して返済しないといけないが、その間「interest free」、金利が発生することはない。つまり、4回の支払額を足した額が借りた額を上回ることはないということだ。特定の銀行のファンでもなければ、タダのサービスにスイッチしない理由はない。
記事にあるが、Citiのパーソナルバンキング部門は24%の減益になったらしい。
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|キャッチは当然ある
では、業者はどうやって儲かっているかというと、以下が分かり易い:Profits generally come from retailers, which are willing to pay a fee in return for the boost they get from the sales, and ...
とあるように、手数料(fee)を、モノやサービスを売る側が業者に払う。BNPLローンの存在によって販売が促進されるお礼という名目だ。
そしてこの手数料の額は、クレジットカードの延滞手数料(こっちはクレカを切った者が払う)よりもずっと割安らしい。
ではなぜ銀行が手数料の薄い取引に手を出すかというと;
In some cases, they are seeking to offer the service as a loss-leader to entice consumers into fee-generating chequing and savings accounts.
とあるように、手数料の発生するその他サービスへの呼び水とするためということだ。
ただ、読み進めると書いてあるが、最近はこの戦略が機能しているとは言えない状況になってしまったらしく、最近CitiはBNPLローンの実行前に申込者の信用力調査を行うようになったと伝えている。
最後に専門家のコメントを載せている:
"Being more conservative may not get them as much as business but probably is a smart thing to do."
そもそもBNPLは簡易な審査を売りの一つにする「conservative」でないサービスだ。今後、コンサバなBNPLがスタンダードになっていくだろうか。それとも、規制強化によりサービス自体が制限されるようになるのが先か…
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