日本の借入コスト=金利は14年振りの高さ|Financial Times |2025.02.10
FT: Yield shift | Inflation expectations and pay rises push Japanese borrowing costs to 14-year high
14年振りの1.31%まで上昇した日本の長期金利。
2月10日付 Financial Times, Yield shift: Inflation expectations and pay rises push Japanese borrowing costs to 14-year high では、タイトルが示すように、賃金上昇圧力を背景とし、日銀が予想よりも早く利上げを実施するとの観測が広がったことが、14年振りの高さまでの長期金利上昇につながったことを伝えている。
当然日本での報道はあったが、このFT記事自体はとても簡潔にまとまっている。英語学習のためにも、英字新聞で読む日本ニュースは是非目を通しておきたい。
特筆すべきは、記事中のアセマネ会社の発言ではあるが、一般的な日本人の感覚だと「実質賃金って最近でもマイナスじゃなかったっけ?」であったにもかかわらず、「日銀は賃金上昇圧力への対処が遅れている」としている点、
さらに、日本の今のインフレは「海外の物価高・円安」のせいだろうとの一般的な感覚に反して、日本のインフレは「もはや海外由来でなく国内ファクターによるもの」としている点だ。
では一緒にポイントを読んでいこう:
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|利上げは案外早く来る?
The Bank of Japan decided last month to lift its short-term rate to a 17-year high of around 0.5 percent…
で始まる本文第2パラグラフは基礎事実だ。今回の記事の主題である「Rising inflation expectations have fuelled bets that the next rate hike could come sooner… 」から続く2文は、事実とその背景を簡潔に伝える良文だ。「multi-year highs(数年ぶりの高さ)」といった表現も是非体得したい。
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|いつまで海外のせいにするつもり?
この記事ではとりわけ、冒頭でも触れたアセマネ会社の見解;
“It’s domestically driven, not simply imported from the rest of the world,”…
が入るパラも必読だ。内容としては、昨年12月に30年ぶりの賃金上昇を記録した状況に関して “it feels like we are closer to the start than towards the end of the BOJ hiking cycle” /日銀利上げサイクルの終わりというよりは始めというに近い、といっており、日本以外の主要中銀が利下げモードだったとしても、周回遅れの日本においては別に利上げサイクル打ち止めの様子はないということを指摘している。
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|ビハインド・ザ・カーブ
同じくアセマネ会社の見解を含む;
the Boj has been “behind the curve” keeping up with wage pressure…
を含むパラが最後の方にあるが、これも最後まで短いので読んでおきたい。「対処が遅れている」を「behind the curve」と言う表現は、少なくとも筆者にとっては英字新聞を読んでなければなかなか出会うことがない言い方であり、こういう言葉との出会いは、語彙のプラスになる有難い経験である。
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